2ペンスの希望

映画言論活動中です

2015-01-01から1ヶ月間の記事一覧

「近づく」ということ

昨日読んでいた本で印象的な言葉に出会った。 村上稔さんの『買い物難民を救え!移動スーパーとくし丸の挑戦』【緑風出版2014年7月10日 刊】 「会話の中身などはあまり関係ないのです。コミュニケーションというのは、表面的には意味のキャッチボールなのか…

益田ミリ

益田ミリさんの漫画を愛読している。この前読んだ『週末、森で』も良かったが、今回の『どうしても嫌いな人 すーちゃんの決心』が素敵だった。益田さんはアラサーアラフォーの女性の心理・感情の微妙な部分・柔らかい部分に触れるのが上手い。深くて軽い。ふ…

日本映画ポスター

日本の映画ポスターも元気だった時代がある。数年前東京と京都で展覧会が開かれた それぞれ どなたが手掛けたものかわかりますか? 時計回りに、和田誠 大島弘義 宇野亜喜良 檜垣紀六 横尾忠則 粟津潔 岩田専太郎 杉浦康平+鈴木一誌 九里洋二 河野鷹思 そし…

ファン・ガッティ

タイトルデザイナーをもう一人だけ。スペインのファン・ガッティ[Juan Gatti]。 ペドロ・アルモドバル[Pedro Almodóvar ]と永くタッグを組む。タイトルはもとより、ポスター、チラシ類も手掛ける。右はポスター群。オープニング動画を探してみたが 見当たら…

続々ビンダー

ビンダーでさらにもう1本。 1968 バーバレラ。 ジェーン・フォンダの宇宙服ストリップ。 半世紀ほど前にこの発想 この技術 このゴージャス。

続ビンダー

ビンダーでもう1本。 1963 シャレード ソール・バスがクール・ゆるぎなき構成派だとするなら、ビンダーはユルさが身上、 何でもありのごった煮・チャンポン、ホットな色彩多彩派。

モーリス・ビンダー

ソール・バス[Saul Bass]ばかりではない。映画のオープニングタイトルの達人はたくさん居た。1960年代ロンドンを中心に活動したモーリス・ビンダー[Maurice Binder] 1962 007/ドクター・ノオ テーマ曲とともに前半はしっか…

ソール・バス

タイトルデザインを見るのは映画の楽しみの一つだった。 ということで、今日はソール・バス映画タイトル集成。(ソウル・バスという表記が一般的なようだが、ソールで統一) 映画タイトル以外に、バスは企業のロゴマークなども数多く手掛けている。 ミノルタ …

クレジット

画家菅井汲は、パリ在住時代 映画制作に関わっている。 1957年『悲しみよこんにちは』: 映画の中に菅井の絵が使われ、スタッフタイトルにはpaintings KUMI SUGAIの文字が見える。(1:09あたり‥ご注目 ) タイトルデザインは、ソール・バス(Saul B…

菅井汲

若い頃から絵画は観て来た。 好きな画家はたくさんいる。中で一番長く見続けてきたのは菅井汲(1919〜1996)だ。 出会いは、1969年夏 京都岡崎の国立近代美術館。一目惚れだった。一発でもっていかれた。そのときに見た一点がこれ。 以来、50年近く「追っか…

フィオナ・タン

大阪中之島の国立国際美術館で映像作家の展覧会を観て来た。 「フィオナ・タン まなざしの詩学 [Fiona Tan Terminology] 」 フィオナ・タンさんのことは初めて知った。1966年インドネシア生まれ。オーストラリアで育ち、1988年か…

句集 鯨の目

ご近所の古本屋“口笛文庫”を覘いたら、成田三樹夫遺稿句集が売っていた。 大きな額と鋭い眼差し、ニヒルな表情、俳優成田三樹夫は和製リチャード・ウィドマークみたいで好みだった。俳句を詠んでいたことは初めて知った。ぱらぱらめくってみた。 目に留まっ…

1カットの予告編

最近珍しい予告編を見た。 手持ち1分7秒のワンシーンワンカット。 本編では、更にこの前に1分10秒あまり 縁先での一芝居から玄関口に回りこむくだりがある。つまり2分20秒近くワンカット。予告編はその後半部分を切り取ったものだ。 正直山田洋次監…

謎のエキストラ

やはりTV番組「探偵ナイトスコープ」は面白い。先週末の1本は、「謎のエキストラ」 十年間追い求めた映画のエキストラさんを探して欲しいという依頼。 早速YouTubeにあげられていた。奇特な方がおられる。便利な時代になったものだ。 時間のあると…

ジャンル

ジャンル自体に価値があるわけではない。そんなことは分かりきった話だ。 ハイカルチャーに元気がないからといって、サブ・カルチャーが偉くなったわけじゃない。なのに、サブカル人気は高い。マンガ・アニメ・ラノベ・ゲーム‥‥。知らない奴らは時代遅れ、理…

目利き

いまだに、作り手・クリエーターの方が偉いと勘違いしている輩は多い。 作り手の中でも、受け手の間でも、だ。 今のご時勢、作り手なんて、ちょっと山っ気がありおっちょこちょいで行動力があれば、簡単になれる。一本撮れば、あなたも映画監督というわけだ…

重力と密度(軽薄短小再論)

昨今、重いものは敬遠されがちだ。軽薄短小礼賛時代。粗くて雑で濁ってる。スカスカ、ぺらぺらを苦々しく思ってきた。が、はたと気がついた。 なんだ、軽くて重いもの、薄くて濃いものを作ればいいだけじゃないか。言葉遊びのつもりはない。外見(そとみ)は…

完成度

足したり盛ったりしない、飾らないでごろんと投げ出す、説明もしない、それでも、見る人を捉えて離さない強さ、それが表現(物)の身上だろう。 良く出来た完成品は、粗雑でも雑多でもない。もちろん稚拙でもない。手間も暇も掛かってる。上手く出来たものは…

足さない 盛らない

ゴテゴテ飾り立てながら、中身はスカスカ、上げ底、まがい物‥‥、そんな映画はごまんとある。飾り立てる方が容易だからだ。 足さない、盛らない映画は多くない。 余分なもの、不要なものを剥ぎ取っていくと、本体だけが残る。 本質が露わになる。 身も蓋もな…

快楽としての‥

昔むかし映画は娯楽か芸術かという論争があったそうだ。二者択一の罠。どちらかに決めるのは間違い、どちらもあり、そういえば済む話じゃないか、ず〜っとそう思ってきた。娯楽としての映画、芸術としての映画、どっちでもいいし、何でもありだ。 教養として…

骨抜き

『筋肉よりも骨を使え』の著者松村卓さんがラジオで話していた。今日はその受け売り。うろ覚えで書く。よって責任は持たない。要旨はこうだ。 「体」という漢字には、もともと「粗末なもの、どうでもいいもの」という意味があった。 較べて「體」は骨へんに…

映評

ちょびっとだけお手伝いした友人の映画がやっと東京公開になった。 キネマ旬報に映画評が載った。 評者は70代と50代の男性評論家二人+40代の女性ライター一人の計三人。 順にそれぞれ☆☆(悪くはないけど)☆☆☆(一見の価値はあり)☆☆☆☆(オススメ)だ…

“村人”

昨日書いた岩田博さんの本『ひとり出版社「岩田書院」の舞台裏』に、思文閣出版の川島さんという出版人の発言が引用されていた。面白かったので勝手に孫引きさせてもらう。初出は「新文化」という出版業界紙1992年4月23日号の「当世専門書営業事情」。 「の…

ひとり出版社の舞台裏

年末から年始にかけては、映画は殆ど見ないで溜まっていた本ばかり読んでいた。 (というのは少し嘘で、何本か見たのだが、新作には心が動かされなかった。愉しんだのは古い映画ばかり。)というわけで、読んだ本の話。 岩田博さんの『ひとり出版社「岩田書…