2ペンスの希望

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句集 鯨の目

ご近所の古本屋“口笛文庫”を覘いたら、成田三樹夫遺稿句集が売っていた。

大きな額と鋭い眼差し、ニヒルな表情、俳優成田三樹夫は和製リチャード・ウィドマークみたいで好みだった。俳句を詠んでいたことは初めて知った。ぱらぱらめくってみた。
目に留まった句 幾つか。
肉までもぬいだ寒さで餅をくい
咳きこんでいいたいことのあふれけり
ひそと動いても大音響
色々の人々のうちにきえてゆくわたくし

役者という職業を透かして読んでも面白いし、そんなこととは無関係に読んでもいい。
題名の鯨にちなんだ句ではコレか。
六千万年海は清いか鯨ども
箱入りおしゃれで丁寧な造本。出版社は秋田の無明舎出版。1991年3月刊行。
装丁はなんと平野甲賀さんだった。文字に力が宿っている。