2ペンスの希望

映画言論活動中です

2014-01-01から1ヶ月間の記事一覧

ホットマン

スカブラに類する人物をもう一人。ホットマン。 空調も無かった昔の撮影所では、冬の寒い時期、ステージ(スタジオ)内を暖めるため火をガンガン起こすだけが仕事の「ホットマン(ホイットマン)」が居た。っと、これは森崎東監督の本で知った。【「鶏は裸足で…

スカブラ

初めて知ったときからずっと気にかかっている人物、誰にもそんな人物が居る。 拙の場合は、「スカブラ」。 若い頃上野英信さんの本で知った。【岩波新書『地の底の笑い話』1967年】 スカブラとは、筑豊の炭鉱で、仕事が好かないでサボってばかりいる怠け…

学・習

今日は、学習という言葉について。 以下は、白石崇人(しらいしたかと)さんという鳥取短期大学准教授(日本教育史、教師論・教育者論等がご専門)のブログからの引用。 「學」の漢字は、師弟が向き合い、師が知識等を授け、弟子がそれを受取ることを意味し…

pedagogy andragogy

つい最近知ったのだが、 教育学の世界に、pedagogy ペダゴジーとandragogy アンドラゴジーという言葉がある。語源は、ギリシャ語の「子供:paidos 」と「導く:agogus」。(ちなみにandragogyは「aner:成人」から生成) 要は、子供の教育学と大人の教育学で…

円くなった?

最近、我ながら円くなったと思ってる。 昔はちょっとでも良くないところがあると許せない!駄目だと目くじらをたてていた。 それが変わってきた。一つでも良いところ・美点があれば、なんとか褒めてあげたいと思うようになった。しかし先日、親しい友人にそ…

テレビと映画 その相違 続篇

フジテレビ系列で一世を風靡した「プロ野球ニュース」については憶えておられる向きも多いだろう。 キャメラマンのFさんは、このFNNプロ野球ニュースで永年仕事をしてきた。 Fさんは、もともと記録映画の出身、フィルムの世界でキャリアを積んできたベテラン…

テレビと映画 この似て非なるもの

同じ映像なので、似たもの同士に誤解されるが、テレビと映画は全然違う。 似て非なるものである。テレビは、ながら視聴をゆるすメディアだ。 他チャンネルとの戦い、日常と地続きの時間・ふるまいにいつも晒されている。 そのため、視聴者の想像力に対しては…

観客劣化

いまさらだが観客の劣化が気にかかる。 ウエハースばっかり食べているとアゴは鍛えられない。使わない尻尾は退化する。 分かり易さを求めて、簡単な結論が出ると、安心して納得する。自分で理解できることしか読もうとしない。安心な娯楽ばかりを消費する。 …

自由より拘束 & 「いいひと仮面」

小児教育の現場で働く若い知人から、こんな話を聞いた。 自由に何をしてもいいよ、というと、イマドキの子供たちは、何もできない。 どうしたらよいかわからず戸惑う子供が大半だそうだ。ある枠を与えないと考えられない、動けない。枠組み(フレーム)の提供…

下部構造

すべての表現物は[下部構造]に規定される。 その自覚なくして済ませられるのは、子供だけだ。さて では[下部構造]とは何か? さしあたって思い当たるのは、三つ。 経済 つまり 懐具合 身体 つまり 体力と体調 時間 つまりは すべての人には等しく24時間が…

持ち味追論(理由もなくズキンとくるもの)

数日前に「個性・持ち味」について書いた。(「芸術のことは自分に従う」=1月18日) それに類する話題をもうひとつ。 31歳の沢木耕太郎が28歳の藤圭子にインタビューして書いた『流星ひとつ』【2013年10月10日新潮社刊】を元に。 まずは YouTubeの視聴から‥ 《…

対案を具体的に示すこと

映画『麻雀放浪記』で一緒に脚本を書いた澤井信一郎さんが和田誠さんにいった言葉。 「うまく書けてないとか、掘り下げが足りない、なんて誰だって言えるんですよ。 大事なのはじゃあどうしたらいいかってことを具体的に示すことです」 【「麻雀放浪記」前夜…

それもまたよし(MMと栗)

高橋輝次編著『誤植読本増補版』【ちくま文庫2013年6月 刊】をパラパラめくっていたら、詩人の大岡信がこんな文を書いていた。 「誤植されている字を見て、誤植の方が気に入ったためそのまま頂戴してしまったケースもある。」 例として、マリリン・モンローを…

「芸術のことは自分に従う」

テーマ・メッセージなんか無くても結構だが、 映画的な快感・文体・リズムが無いと辛い。 最近とみにそう思う。 劇映画と記録映画の区別なく、フィクションであれノンフィクションであれ、作家性というか「持ち味(のようなもの)」が感じられないと寂しい。…

生産より流通

ちょっとした訳ありで「平成24年度 兵庫県立西宮高等学校(単位制による課程)普通科推薦入学適性検査問題」というのを読んだ。 哲学者・内山節さんの本「怯えの時代」からの出題だ。 「歴史をみるかぎり経済の出発点は生産ではなく流通である。」 「生産→流通→…

「ビジネス抜き」は無し

いまや映画は分が悪い産業になっている。全くもって儲からない。あざとい商売上手を除けば、大半の映画は赤字だといっていいだろう。制作費を回収して監督や主要スタッフに満足なギャランティーが支払われている自主制作映画がどれくらいあるだろうか?他人…

家内制手工業

かつて映画が撮影所で作られていた時代があった。 その頃 撮影所は夢の工場と呼ばれていた。 東京都内をはじめ都下近郊横浜や川崎・千葉、西では京都や宝塚、更に古くは芦屋・西宮や東大阪、奈良にもあった。過去形で語ると、いや今でも幾つもスタジオはある…

「新しい中世」

「新しい中世」が始まっている。 年末に「メディア論の新書」を読んで以来「新しい中世」という言葉が気になって仕方がない。ウィキペディアにはこうあった。 「新しい中世(あたらしいちゅうせい、New medievalism)とは、グローバル化の進展によって国家主権…

途方もないところで途方に暮れて

日本の映画は、途方もないところに来ている。そして、途方に暮れている。 そう書けば「それはお前だけの感慨だろう、映画は誰にでも作れるようになった、お金がなくても仲間がいなくても作れる、作りやすくなったじゃないか。劇場だってこの数年の興行成績は…

せせこましく やるせない

これまで何度も書いてきたが、現在の日本の映画状況については二つの思いが深い。 『玉石混交どころか、液状化している』 『格段に作り易くなったその分だけどんどん作り難くなっている』 出来るだけ映画館に足を運んで新作も観ようと心掛けて来たつもりだが…

習い 性(せい)となる

どうしても抜けない習性がある。 暖房はエアコンよりおこた(こたつ)。愛用するのはフリースやダウンよりもっぱらトックリセーターと革ジャン。浴室ではボディシャンプーではなく固形石鹸。ついでに言えば、AVよりピンクだ。しかし、若い連中には通じなくな…

『拾った女』

リチャード・ウィドマークという俳優が好きだった。西部劇や犯罪モノで活躍した。一筋縄ではいかなそうなニヒルな風貌・冷たい笑顔に惹かれた。それでももちろん全部見ているわけではない。むしろ見逃した映画のほうが多い。 1953年『拾った女』もそのう…

言辞施

テレビはほとんど見ない。新聞の購読も辞めて久しい。もっぱらラジオをぼんやり聞いている。昨朝、仏教用語「無財の七施(むざいのしちせ)」が話題にのぼっていた。 地位や財産がなくても心がけ1つで誰もがいつでも簡単にできる施しが七つあるという話だった…

SK5

『フルメタル・ジャケット』Full Metal Jacket1987 今日は予告編の二本立。 どっちがそそるでしょう? キューブリック7年ぶりの新作が来るというので、大いに期待して東京で観た。 ロードショーというコトバがかろうじて生きていた頃のことだ。

SK4

4本目は『時計じかけのオレンジ』A Clockwork Orange1971 予告編もスタイリッシュ。

SK3

キューブリック第三弾は、 『博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』Dr. Strangelove or: How I Learned to Stop Worrying and Love the Bomb1964 この辺りからは、同時代的に見ている。といっても東洋の…

SK2

キューブリック予告編2本目。 『現金(げんなま)に体を張れ』The Killing1956 ちらりとビンセント・エドワーズ(TVシリーズ「ベン・ケーシー」)の姿も見える。 昨日と今日の二本は封切りでなくリバイバルで観た。 現なまもベン・ケーシーも封切りもリバ…

SK1

年初め予告編シリーズ・キューブリック篇。 (誰しも思い当たることだろうが)世評に名高くてもどうしても見られない映画がある。 スタンリー・キューブリックStanley Kubrick,『2001年宇宙の旅』2001:A Space Odyssey1968がそうだ。キューブリックが…

長距離ランナー

今日は、『長距離ランナーの孤独』The Loneliness of the Long Distance Runner1962英国の予告編。 どこまでも単独行。襷を繋ぐことは‥ありやなしや?その相手は‥‥ありやなしや?

蜜の味

年初めは、 ヨーロッパ各国の映画が元気だった時代のイギリス映画から。 トニー・リチャードソン『蜜の味』A Taste of Honey 1961 映画はやっぱり蜜の味。