2012-06-01から1ヶ月間の記事一覧
以前に読んだ山田宏一さんのインタビュー本『映画とは何か』を引っ張り出して読み直している。【1988年1月草思社刊】羽田澄子さんにインタビューしている回にこんなくだりを見つけた。 羽田「‥私は、肩書きを書けと言われると、いろいろ考えて、いまの…
寅さんは大嫌いだが、渥美清は大好きだった。 全く趣味ではない(むしろ反撥の方が強い)山田洋次監督なのだが、撮影所育ちの技量をフツーに身につけていれば、筋立てやスタッフ・役者に支えられてフツーに面白い映画を作ることが出来る。その証左の一つとして…
音楽つながりというわけでもないのだが、松坂慶子が歌う『愛の水中花』作詞は五木寛之。作曲は小松原まさし。 ♪これも愛 あれも愛 たぶん愛 きっと愛、〜 愛を映画に置き換えてみる。これも映画 あれも映画 たぶん映画 きっと映画。前にも書いたことがあるが…
知らなかった。へーっと思ったので、書いておくことにする。 昨日縦横無尽と書いたからというわけでもないが‥。映画とは全く関係なさそうな話。 「比叡おろし」という曲はご存知か。 1965年松岡正剛が二十一歳で失恋した時に作詞・作曲(!)したものだ…
「本」の字が付く熟語には、どことなく正当なイメージが漂う。 本当 本物 本心 本意 本気 本音 本腰 本領 本質 本性 ‥‥。 反対語は、偽、贋、不、支、略、仮、脇、枝、など色々あろうが「末」が代表だろうか。 こちらは、先っぽ、先っちょ、と軽くて、いささ…
昨日に続けて、もひとつ「見巧者」話。 よく「百聞は一見に如かず」というが、ほんとうか。見たらそれで良いのか、見たら何か分かるのか。ずっとそうおもってきた。とりわけ映画について。 確かに、見なけりゃ始まらない。けど、見るには眼力が要る。目利き…
「こだわる」という言葉がある。最近ではおおむね好意的な意味で使われている。素材と出汁にこだわる、とか、こだわりの職人技、とかとか。「手抜きせずとことん追求する」といった良質、良心的なイメージだ。しかし、原義は違う。どうでもいいこと、取るにた…
ものは言いよう、とはよく言ったものだ。 「◎◎から影響を受けた」というけれど、それって「剽窃」じゃないの。それとも「引用」とでも‥。でも「模倣」「盗作」の疑いも‥。フランス語ではパスティーシュ。英語にはパロディと言う言葉もある。二次創作、オマージュ、…
今日は、予告編とメーキングの二本立でご機嫌を伺う。今でも若い世代に人気があるらしい寺山修司の1974『田園に死す』と 知る人ぞ知るJ.A.シーザーの「耳切虫海伝記」。 『田園に死す』のウイキペディアには、「ラストシーンは『幕末太陽傳』から影響…
映画とは何か?について、基本的なキイワードを忘れていた。夢。 一抹の夢。見果てぬ夢、夢のまた夢、夢なき夢、醒めたまま見る夢。甘い夢、苦い夢、悪夢、正夢、逆夢、夢の跡。夢の名残り、夢の通い路、夢占い。夢うつつの夢語り。夢心地の夢物語。夢の浮橋…
前に一度話題に挙げた井筒和幸の『ガキ以上、愚連隊未満。』を読んだ。【2010年5月ダイヤモンド社 刊】分かったようなウンチクを並べただけのゴタク本ではない。実体験をなぞりながら書かれた“遅れてきた青年”の映画記だ。関西出身、拙管理人と近しい世代と…
シネコンを中心にDCPの導入が急ピッチだ。デジタル・シネマ・パッケージ。フィルムを一切使わず、デジタルデータのままで配給・上映されるしくみだ。デジタル化が完了した映画館では、もはや映画だけが上映されるのではない。有名歌手やアイドルグループ…
映画とは何かという厄介な問いに足元をすくわれている。人間とは何か、愛とは何かといった類いに近いことは良く分かっているつもりだが、困ったものだ。 「動物=動くもの」という単純素朴な措定に倣って“言葉”をよすがに考えてみたい。 日本語では映画、昔…
やっぱりマイケル・ムーアもフレデリック・ワイズマンも駄目だと思う。駄目というのが言い過ぎなら,性に合わないと訂正しよう。ムーアについては、多くの人が言及しているように、映画人というよりジャーナリストだと定義した方が良さそうだ。テーマの掴み…
映画とは何か、という問いのまわりでウロウロオロオロするうちにも、友人・知人からは、「次回作のテーマを決めた」だの、「映画の関西上映が決まった」だの、「若い青年の熱意に応えて映画作りを始める」などの知らせが届く。どれもこれも素敵なことだ。掛け…
ここ四五日ブログを更新しないできた。 今年の初めにスタートして約半年勢いに任せて書いてきた。それがここへきて少々息切れしてきたためというのが正直なところだ。ネタ切れ。サボり癖。‥‥。 少しだけだが違う思いもある。ブログの性格上、その日その日の…
その昔から 食えない詩人や文学者が大学の先生になって食い扶持を稼ぎながら本業(余技?)に精進するという例は沢山あった。だとするなら、食えない映画監督が大学で教えたっていいじゃないか、何も責められることじゃないという声も聞こえてきそうだ。 「金…
生活のための仕事をこなしながら、余暇・余剰で「映画」をやる。 そうせざるを得ない現実を招いた責任の99%は、ふがいない先達にある。業界も個人も、目先にかまけてきたことの当然の報いだ。技術の進化は、ブレーキとはならず、逆にアクセルとして拍車を…
70年前に作られた映画を今の時代に見る。例えば、瀬尾光世脚本演出『桃太郎 海の神兵』 総制作費27万円(今の貨幣価値換算では4億円)。セル画5万枚。海軍省後援、大本営海軍報道部指導による れっきとした戦意高揚アニメである。 桃太郎 海の新兵 デジタ…
TV業界出身で、イマをときめくエンターテイメント系の映画を沢山作ってきた或る監督が、ちょっと前にこんな趣旨の発言をしていた。(どこで目にしたのかうろ覚えなので申し訳ないが出典は不明。勝手な要約でご容赦願う。) 昔TVで仕事を始めた頃、あまりにも…
新しい日本の映画のために These5は、「タブラ・ラーサ(白い板)」 【 tabura rasa 】 ラテン語で「何も書かれていない書板」を意味する。アメリカン・ナイト、イマジナリー・ライン、レンブラント・ライト、マジック・アワー、ドンデン、バミる、ナメる、わら…
新しい日本の映画のために These4は、「レッセフェール レッセパッセ」 【 laissez-faire, laissez-passer 】 「為すにまかせよ、行くにまかせよ」という意味のフランス語である。映画の世界はハリウッドの一人勝ち、というのが大方の認識だ。 世界各国はな…