2ペンスの希望

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2016-02-01から1ヶ月間の記事一覧

『まんが学特講』らしさとリアル

『まんが学特講 目からウロコの戦後まんが史』つづき。 「目からウロコ」は言い過ぎだが、刺激的な発言の幾つかは面白く読んだ。 (お=大塚英志)「トキワ荘グループの人たちが盛んに 「まんがとはこうだ」 「まんがの歴史はこうだ」っていろいろと書いたも…

『まんが学特講』実作と歴史

漫画は、映画と同じくらい好きだった。 貸本劇画から月刊誌、週刊誌、少年漫画から少女漫画、新聞漫画から、漫画読本・エロ雑誌までが守備範囲。小学校時代から大学卒業まで浴びるほど読んできた。そんな漫画好きのための特別講義本を見つけた。 2010年…

ETV番組

NHK教育TVの「岩井俊二のMOVIEラボ シーズン2」の♯4「嘘をつく」の回を観た。いつになく面白かったので、幾つかのフレーズを備忘録的にメモしておく。 (もとより言い回しやニュアンスはええ加減、管理人の責任。「すべての映画は作り物。嘘は多…

おもしろかおざえもん

みなもと太郎サンの『お楽(たの)しみはこれもなのじゃ 漫画の名セリフ』から もうひとつ。杉浦茂先生のキャラクターの一人、おもしろかおざえもん。 背反有理:漫画版。言うことなし。

映画的手法

漫画に映画的手法を導入した嚆矢は手塚治虫だと流布されてきた。 どうやら間違いらしい。先達が居たようだ。 三町半佐(ドン・キ・ホーテの従者サンチョ・パンサのもじりペンネーム?)。知ったのは、昨日書いたみなもと太郎サンの本『お楽(たの)しみはこれ…

「物をつくり出すのは、おれたちさ‥‥」

みなもと太郎サン『お楽(たの)しみはこれもなのじゃ 漫画の名セリフ』という本がある。 ご存知 和田誠サンのイラスト入り映画評論『映画の名セリフ―お楽しみはこれからだ』【キネマ旬報連載 単行本はパート7まで出ている】のパロディ=漫画版だ。(既に 和田…

キャメラ???

キャメラが暴力的な装置であることは何度か書いてきた。 一方で、「向こうからやってくるものを丸ごと受け止めるグローブのように使いたい」そう語る石川直樹さんのような写真家もいる。【読んでみようという奇特な方は ⇒http://d.hatena.ne.jp/kobe-yama/20…

キャメラ??

人間の目は(というより脳?)優秀だ。 映っているものから見たいものだけを選び出し 見たくないものについては無視する。余分なものはオミット、見えていても見ていない。 キャメラは違う。キャメラは怖い。目の前にあるすべてを丸ごと写してしまう。 容赦な…

キャメラ?

映画の必要条件って何だろう。答えは様々にありうるだろう。 あまりに当たり前すぎるが、キャメラというのはどうだろうか。文学たらしめているツールがペン・筆と文字であるように、キャメラがなければ映画は出来ない。 (もっとも最近は、キャメラなしに、…

数字の話 100/5300

佐藤秀峰さんの『漫画貧乏』【2012年4月PHP研究所 刊】によると、「一年間に漫画の単行本を出す漫画家は約5,300人で、そのうちトップ100人の印税収入が平均7000万円、残り5,200人の平均は280万円だ」そうだ。 何気なく読んで見つけたものだが、数字は正直で…

数字の話 閑話

松岡正剛については、正直うさん臭さも感じながら、ずっと眉に唾して読んできた。 ただ、鼻の利き方は抜群で、編集者としてはとても優秀だと思う。 命名の達人というのは、それだけで商売になるという見本のような人物だ。大概は、少し遠ざけながらパラパラ…

数字の話 1000本ノックつづき

映画1000本ノックの話を続ける。 ベストテンやおススメの50本ならよく見かける。けど1000本となると少ない。 淀川長治さん(1909〜1998)に『淀川長治映画ベスト1000』がある。【岡田喜一郎編河出書房新社 刊 2000年5月初版200…

数字の話 1000本ノック

京都ふや町映画タウンの店内にはO店主さんの映画関連の蔵書が並んでいる。 先日出掛けた時、一冊借りてきた。 『ジャンル別映画ベスト1000』【1996年3月 学習研究社 刊】編集者安原顯の肝いり編集。彼が選んだ20人のライターがミステリー&サスペン…

数字の話 1対1

どんな中間経路を経ようと、ものを書く、読むという行為は1対1のものだ。 映画はどうだろうか。 かつては、集団制作、集団鑑賞だけだった。よってこってみんなで作り、劇場に足を運んで見るほかなかった。 とはいえ、1対1対応でもあった。 お目当てはお…

大衆食堂

やっぱり大衆食堂が好きだ。 駅近くに堂々とかつひっそりとノレンをあげている大衆食堂が一番だ。オーナーシェフのこだわり高級店や隠れ家的リストランテなんてのにもたまには行くがいまひとつくつろげない。遠藤哲夫さんの『大衆食堂パラダイス!』【2011年…

1粒で2度おいしい

「1粒で2度おいしい」 アーモンドグリコが昔から好きだった。 リハーサル・稽古段階を撮った第一部と、実際に上演された本公演を撮影した第二部から成る長尺劇映画、時代劇に突如アニメーションシーンが挿入される新作日本映画、小説本文のなかに、主人公…

赤瀬川 おざ‥‥

『赤瀬川原平漫画大全』を読んだ。【2015年10月河出書房新社 刊】相変わらず達者なものだ。 褒め言葉で言うのだが、パクリの達人。画も文もよくした。現代美術も漫画もイラストも描いた。小説もエッセーも書いた。達者がすご過ぎていま一つ共感を欠い…

原作物

小説や漫画を原作とする映画は昔から多い。 ただ、映画を見たから原作はもう読まなくていい、とか、映画化されても「めちゃくちゃにされて」失望するだけなので絶対観に行かない、なんて人が居る。 ストーリーや主題、題材、何が写っているか、どんな筋書・…

吹きさらし

「縁者」や「信者」の前でやってるだけなら、安心安全安泰だろう。温かく好意的視線に囲まれて心地よい。望めば劇場公開の道も近づいた。劇場側からしても、基礎票が読める興行は安定していてオイシイ。ともにWin-Winの関係。否定はしない。悪いとも思わない…

映画史 続き

皮肉屋の友人からメールがきた。 古代=撮影所の時代 近代=街場の時代 現代=学校の時代 という分類はどうだろうか、とあった。スタジオ・セットの中から、外のロケーション・ロケセットへ、それがいまや、街場・市街地でキャメラを回すのがどんどん難しく…

あまりぱっとしない‥博打との‥

neoneo ♯6の特集記事三本目。 ドキュメンタリー映画の配給宣伝会社「東風」の渡辺祐一さんの一文。 「ぼくらなりの理説はあるのですが」と題した論考。 「ドキュメンタリーの劇場公開がカジュアルになってからは、新規事業を立ち上げようとするビジネスマン…

クラウドファンディング

昨日に続き、neoneo ♯6の特集記事から無断引用。 2011年クラウドファンディングサイト“MotionGallery”を始めた大高健志さんの論考。 「スタートしてからは、ポジティブな物からネガティブな物まで様々な反響を頂きました。その中でもとても重要だと感じ…

字で考える訓練

neoneoというドキュメンタリー専門の雑誌がある。 不定期刊だが創刊号から読んでいる。昨年末にでた6号には「ドキュメンタリーのつくりかた」という特集が載っている。冒頭にあったのは「図解!チャート式 ドキュメンタリーのつくりかた〜あなたに向…

ザックリと映画史

新しい映画史の登場を! 何度かそう書いてきた。 観客、受容者(需要者)、受け手、見る側からの映画史は、京都ふや町映画タウン店主Oさんに是非お願いするとして、作り手側からの「映画史」を綴ってみたい。とはいえ、ガッコの先生みたいにはとてもいかない…

PR映画

商売柄 PR映画も嫌というほど作ってきた。 そして今、つくづく思うようになってきた、 映画はすべてすべからくPR映画なのではなかろうか、と。 (自然や動物だけで人間が出てこない映画は苦手なのでこの際 省く。対象外)人間が出てくるものなら劇映画で…