2ペンスの希望

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数字の話 閑話

松岡正剛については、正直うさん臭さも感じながら、ずっと眉に唾して読んできた。
ただ、鼻の利き方は抜群で、編集者としてはとても優秀だと思う。 命名の達人というのは、それだけで商売になるという見本のような人物だ。大概は、少し遠ざけながらパラパラと飛ばし読みするだけなのだが、ときたま目に留まる箇所がある。最近読んだ一節を備忘録的に記しておく。
ふつう、本は一人で読むものだが、ぼくは子供のころから、なぜは自分一人で本を読んでいるとは思えなかった。母が本を買ってくれるたびに、「お母さんもこの本を読んだんだ」という思いが募った。」【2015年12月26日春秋社「インタースコア」松岡正剛&イシス編集学校 冒頭の一文 ⇔「インタースコアする編集力 8共読する教室」から】
     *inter score 訳語は「相互記譜」 松岡の造語らしい。いかにも松岡らしい。
読書という行為にはどこかで「共読の時空」や「共読のネットワーク」がさまざまに想定されるのだ。‥‥たいていは図書館や書店の棚に並んでいる本を、あれこれ迷いながらいちいち手にとっている。ということは、そういう本たちを引き受けて収納している本棚は、すでにして"半読書状態"をあらわしているということなのである。われわれは「誰かと一緒に本棚を読んでいる」ともいえるのだ。」 誰が読んだ、誰が選んだ、クレジットによる安心。1対1、1000本ノックにどこか通じている気がする。
なるほどな、と納得する部分と、なんだかな、と不満な部分と、ともにある。