2ペンスの希望

映画言論活動中です

2022-04-01から1ヶ月間の記事一覧

地方ローカルの映画館:豊劇

経営不振に陥った地方の映画館が2022年8月またひとつ「休館」する。但馬地方唯一の映画館「豊岡劇場」 ウイキペディアにはこうある。 1927年芝居小屋として開業、戦後映画館として2スクリーンを運営してきたが2012年3月に一度「閉館」した。その後2014年7…

6人の映画監督が‥‥

何やかや騒がしい映画界だが、キネマ旬報Web で「6人の映画監督が語る「持続可能な映画界を目指して、の第一歩」という座談記事を読んだ。悪い人たちでない。海外経験 豊富な良識派であることも承知する。「日本版CNCは可能か」と題した座談だ。フランス政…

「歌を難しくしない人」

中部博さんの『プカプカ 西岡恭蔵伝』【2021.11.9. 小学館 刊】を読んだ。 九年かけて縁者・関係者に丹念に取材した労作だ。西岡恭蔵さんは管理人と同世代に関西を生きたシンガーソングライターなので、時代の空気や思いが かぶる。懐かしい名前が幾つも出て…

「いる」「ある」

『ソトコト』という雑誌のオンラインサイトで、歳若い映画人のインタビュー記事を読んだ。出色!オススメ!! sotokoto-online.jp 人はないものに憧れる。けど、ないものでは作れない。あるもので作るしかない。ただ、それに気づくのは難しい。さらに、それ…

スジ ヌケ ドウサ の三つ巴

マキノ省三の「一スジ 二ヌケ 三ドウサ 」という言葉はあまりにも有名だ。 ウイキペディアにも、 「スジはシナリオのこと、ヌケは撮影・現像の技術のこと、ドウサは俳優の演技のことである。」と載っている。 当ブログでも何度か触れてきた。 管理人の理解を…

「映画の終わりが、実は始まりなんだ」

さらにさらに先一昨日(さきおとつい)からの続き。 「映画の終わりが、実は始まりなんだ」 小津は口癖のようにそういった。至言というべきだろう。その上小津自身の作品の、あったさまをよくいいあてている。思い返して見れば、スクリーンの上に〝終〟の一…

勘定合っての銭足らず

さらに一昨日(おとつい)の続き。 どんなに今日的な題材を捉えようが それに社会性があらうが その語り口が説明でハ 劇にハならない いくら理論的に言葉の綾でせめても 所詮ハ勘定合っての銭足らずだ 自戒 一九六一年六月三日の小津日記。 「一見辻褄が合っ…

颯爽&清潔

昨日の続き。座談会「映画と文学」(1947年 春) 小説家と映画監督、当時は結構交流が盛んだったようだ。谷崎潤一郎のように 映画会社の顧問を務めた例もある。志賀直哉もかなりな映画好きだった。 研究者によれば、この座談会で小津は初めてこの敬愛する文学…

「筋 → 表情 → 性格」

「映画も初期は筋を運び、次は表情を表す時代に発展し、そろそろ性格を表す時代になったと思う」 誰の言葉か?って。小津安二郎だ。 1947年(昭和22年)春、『長屋紳士録』試写会後の座談会「映画と文学」での発言。出席者は小津以外に、志賀直哉、飯島正ら。…

《彼我の差》エンカとトロット

永年 日韓の大衆音楽について調査比較研究を重ねてきた友人から、「2年あまり前に出した本=日本版『日韓大衆音楽の社会史 エンカとトロットの土着性と越境性』(⇒ 日韓大衆音楽の社会史 - 現代人文社 ) の韓国語版が現地出版されたよ」という便りを貰った…

駆け込み 国芳 展

駆け込みで京都文化博物館の『挑む浮世絵 国芳から芳年へ』展を観てきた。歌川国芳一門のコレクション150枚が並ぶ。 幾つかをピン留め。まずは寄せ絵。 顔だけじゃない。猪口を差し出す手元も、着物も、首筋も。 こちらは、沢山の獅子で描かれた牡丹花。中央…

竹宮メモ 物語と絵

竹宮惠子の『少年の名はジルベール』を読んだ。【2016.2.1. 小学館 刊】 1970年から72年にかけて、竹宮惠子・萩尾望都・増山法恵(知らずば ググッて!)らが同居し、多くの少女漫画家と卵たち、編集者、ファンが出入りした〈大泉サロン〉の見取り図が出てく…

「古典を愛する」

今日は備忘録。 「私らは最も深く古典を愛する。私らはこの国の省みられぬ古典を愛する。私らは古典を殻として愛する。それから私らは殻を破る意志を愛する。」 1932年(昭和7年)3月、保田與重郎らが創刊した同人誌『コギト』の編集後記の言葉だ。 千利休の…

2025問題

「2025問題」をご存じか? んっ、「団塊世代がおしなべて後期高齢者になり医療看護介護問題がさらに深刻化する超高齢化社会の到来です」って。たしかに社会全般に及ぶこの根底的課題も重大問題に違いない。けど、今日は別の話。 1980年からユネスコは10月27…

嗜みなきは窘めて

『こちトラ自腹じゃ!』の映画監督さんが後輩の映画をくそみそに言っている。 「ただ陰気な恨めしい顔した男や女に3時間もつき合わされて、何の感情も湧き起こらずじまいで不可解でならなかったのはオレだけか。」 「楽しくも何ともない「悩みの相談室」みた…

オウセイ復古=復古ゼンシン

他に比べれば映画の歴史はさほど長くはない。それでもエジソン、リュミエール兄弟から数えれば百二十年を超える。アトラクション見世物から 娯楽・興行・文化・芸術へ、括り=アプロ―チの方法は一つじゃない。 映画史の記述だって人さまざまだ。それを承知で…

新作禁止令 施行 ?!

2022年4月1日 今日 映画の新作禁止令が施行された。以降、新しい映画を作って発表することは全面的に禁止となった。反応は様々に現れた。おとなしく従うもの、地下活動に走るもの、旧作の一部を改変して、いやコレは新作ではない、改定作だから法には触れ…