何やかや騒がしい映画界だが、キネマ旬報Web で「6人の映画監督が語る「持続可能な映画界を目指して、の第一歩」という座談記事を読んだ。悪い人たちでない。海外経験 豊富な良識派であることも承知する。「日本版CNCは可能か」と題した座談だ。フランス政府の「CNC:Centre national du cinéma et de l’image animée=国立映画・映像センター」(1964発足)や、韓国の「KOFIC:Korean Film Council=韓国映画振興委員会」(1973発足)をモデルに日本での導入を目指しているようだ。
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6人の監督が語る「持続可能な映画界を目指して、の第一歩」 │ 【公式】「キネマ旬報」ホームページ / キネマ旬報WEB
一番の年長さん 諏訪敦彦はこう発言している。
「日本版CNCで目指すべき内容は、大きく分けると4つあります。労働環境の改善と未来の観客と映画人材の育成、さらにはSTCや「ミニシアター・エイド基金」で行ってきた配給や上映に関わる流通に対する支援、そして作り手に対する支援。メジャーもインディペンデントも区別なく、業界全体が持続可能な仕組みを作ると同時に、文化芸術の多様性も守っていく。」
「労働環境改善」「未来の観客と映画人材の育成」「流通支援」「作り手支援」
どれも重要課題であることに異論はない。ただ、正直、総花的網羅的だとも感じてしまった。遅かりし由良助にならなければいいけど‥。
「沈みゆくマグロ漁船に自ら志願して乗った」と語る西川美和、「「自分たちの世代は勝ち逃げできた」「セーフ! 俺たちは何とか逃げ切った」と考える人たちがトップにいて危機感が業界全体に共有されず先に進めない」と嘆く是枝裕和、
いっとくけど、水を差すつもりなんて毛頭ない。少しでも上手く賢く立ち回って、一歩でも半歩でも成果をあげて次世代にバトンをつないでほしいと心底 願う。ただ、「(文化芸術の)多様性」だとか「持続可能」なんて時流に乗っかったイマドキの言葉を使うより、もっと根本的な「資本と労働 或いは 賃労働と資本 ©カール・マルクス 」とか「道と経済の合一 ©鈴木清一 」といったレベルで論議すべきじゃなかろうか、なんて思ってしまった。ゴメンナサイ m(_ _)m
公的扶助、助成、制度設計、‥‥イケナイとはいわないけど、もっと我が身と足元を見てみたら‥‥「マーケットが逼迫して危機がくると初めてノウハウが出てくる」なんて上野千鶴子センセの言葉もあることだし。