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「先端のことしか語れないのは‥退屈」

雑誌「日経ビジネス」のWebサイトで、ジョン・ジェイと佐藤可士和の対談記事を読んだ。よく知らないが二人は、ともに広告界で活躍するアートディレクターだそうだ。
    【2014年2月24日配信「グーグルに頼る人は、世界を理解できない」第1回】

ジェイ:先端のことしか語れないアート・ディレクターほど、退屈な人はいません。アートディレクションには、コンテクスト(文脈)とカルチャーの中身の両方が非常に大事です。
言語とビジュアルについてもこう語る。
ジェイ:言葉がないから、より簡単にグローバライゼーションできるでしょう、と思われがちだけど、実はビジュアルって、とっても難しい。
佐藤:言葉は国同士で壁があるけれど、実はビジュアルだって、決して世界共通じゃないんです。 表層的なところじゃなくて、本質的なところまでをつかんで、ビジュアライズする能力が必要です。
おっしゃるとおり。
映像は万国共通・国境を越えるというのは真っ赤な嘘だ。作るのも見るのも歴史と文化つまりは風土に縛られる。そんなことは現場で身体を張っている人なら常識だろう。
先端よりも根っこ。本質・普遍にまで届いた表現だけが、かろうじて理解される。その可能性が言葉よりもちょこっとだけ高いかもしれない‥このあたりが相場だ。
さらに経験的に言わせてもらうなら、その場合でも、「同質に安心する」というより、「異質を発見して共感する」ことの方が多い。他国の映画を見る愉しみは殆どそこにある。