2017-01-01から1年間の記事一覧
本好き芸人“オードリー”若林正恭さんが、懇意な小説家たちと語り合った「文筆系トークバラエティ」本 『ご本,出しときますね?』【ポプラ社2017年4月 刊】がばらつきはあるが拾い物だ。 もとはBSジャパン30分の深夜番組らしい。 角田光代×西加奈子×若林…
昨日の続き。 何も手塚治虫はストーリー漫画だけの大家だと言いたいわけじゃない。 ギャグキャラクターも豊富で秀逸なことは、周知の事実、衆目の一致するところだろう。 手塚ギャグ・スター・オンパレード。 旗持ちは、言わずと知れた超有名人「ヒョウタン…
杉浦茂の漫画については何度も書いてきた。 「日本の漫画には、手塚治虫や白土三平が描いてきたストーリー漫画の系譜だけでなく、もうひとつノンセンス漫画の系譜がある。代表は杉浦茂。物語の展開・ストーリーより、とにかく絵が楽しくてずっと見ていられる…
本に、読み捨て・使い捨て本と生涯付き合う愛蔵本があるように、映画にも同様の別がある。その場限りの娯楽・慰安、消耗品・ディスポーザブル商品としての映画と、手元に置いて何度も繰り返し見たくなる映画。消費財映画と生産財映画・永久保存版。 速効性に…
大学の講堂に設置されていたのは、富士精密工業製 フジセントラルの35mm映写機 F5。カーボンアーク映写機だ。 2本の炭素棒を接触放電させ発火、そこで生じた強い光を光源にして映写する仕組みだ。映写機本体の隣には、交流を直流に変換する水銀アーク整…
必要があって、大学時代に読んだ本を開いた。 しおり代わりに挟んであった35mmフィルムが出てきた。 JLG1963年制作『軽蔑』右はミッシェル・ピコり、左はBB ブリジットバルドー。 褪色は見ての通りだ。シネスコサイズなので35mmフィルムは横幅が圧…
昨日の記事に年若い読者から私信メールが届いた。 「伏線や回想はそれなりに解かるが、カセとかアヤって何?も少し詳しく説明して」 ということだった。う〜む。 綾 アヤ: 陰影 模様 仕組み 裏表 含み ニュアンス 落差 ずれ もつれ すれ違い 行き違い 運命…
昨日に続いて“週刊読書人”ウエブから。 『日本シナリオ名作選』をめぐっての座談会。 【“週刊読書人”2016年6月3日 第3142号】 荒井晴彦1947年生まれ、丸山昇一1948年生まれ、西岡琢也1956年生まれ、向井康介1977年生まれ。四人とも撮影所が機能しなくなって…
四方田犬彦さんは、関心領域もかぶり、年齢も近いことから、何冊か読んできた。 もっとも著作は膨大なので、テキトーなつまみ食い読者に過ぎない。それでも映画関連、漫画関連はマメに読んできた。感心することもあれば、そりゃないよ同意しかねる、というの…
引き続き、書留 その参 * * かかか 三原則 かまえない かくさない かざらない あああ 三原則 あわてない あせらない あきらめない フフフ 三原則 フラット フランク フリー おにはうううち おりない にげない はしょらない うらまない うとわない うたがわ…
書留 その弐 * * 新しい映画に求めるものは、 「見たことのない画を見たい」‥‥作り手の“美意識” 「底知れぬものに触れたい」‥‥作り手の“世界観” 結局これに尽きる。この二つの有無が表現の水位を決め、生死を分ける。 ますますそう思う、今日この頃。 * …
今日は、最近つらつら思っていることを書き留める。 * * 何やかや言っても、とどのつまり、 絵画は、「線と色」 その伝で行けば、 映画は「枠と動き」(フレームとムービー・アクション)。 当たり前だが、 その素(もと)になるシナリオは、言葉(文字)で書…
昨日の続き。 石渡均著『映画監督のペルソナ川島雄三論』から印象的だったフレーズを幾つか。 池内淳子「‥実に細やかに、実に何事も深く‥本当に何気なく、何事も何気なく深く、広く‥‥」 渋谷実「彼は、オーソドックスが嫌で嫌でたまらぬ正統派だ。『幕末太陽…
川島雄三の本は、若い頃から何冊も読んできた。 今村昌平が纏めた『サヨナラだけが人生だ 映画監督川島雄三の生涯』はじめ、磯田勉+カワシマクラブ編『川島雄三乱調の美学』、「ユリイカ臨時増刊 監督川島雄三」、藤本義一『川島雄三、サヨナラだけが人生だ…
或る方からこんなサイトを教えて貰った。 “50 Best Movies of All Time” http://www.msn.com/en-us/movies/gallery/50-best-movies-of-all-time/ss-AAqa3AL?li=BBnb7Kz&fullscreen=true#image=1 ウエブを叩けば、似たような類は山ほど見つかる。ごまんと出て…
仕事仲間とこんな話をした。 昔と今、プロの仕事のお金の取り方が変わった。OSの変容。 昔は、構えて飾って近寄りがたくするのがプロ仕様。機材や技術の高価・未発達もあったが、大層に大げさに、手間暇かけてプロ技 誇示。ときには無用なコケ脅しの大仕掛け…
最早誰もが知るビッグネームは成立しない。どの世界もそうなってる。 音楽も絵画も文学も‥何もかもすべての業界が。 国民的歌手、誰もが口ずさむ流行歌、なんてのは遠い遠い昔の話。 細分化。タコツボ化が果てしなく進む。カルトの発見・発掘大競争時代。 そ…
映画に古典は有りや無しや。そんな疑問に囚われ続けている。 「映画にも賞味期限がある」「昔もてはやされた名画も今観ると陳腐。古臭くって退屈」「映画は時代の産物。その時代の空気の中にあってこそ輝くもの。意味も価値もそこにある。そこにしかない」「…
昨日の続き、少し補足する。 大向こうを意識した隠れもなきメインストリーム・大上段映画が、大きな影響をもたらす「一級河川」映画だとするなら、あまり知られないがそれなりに愛され、ささやかながら豊かな恵みを与えるマイナーポエット、それが「小川」映…
エジソンの発明やリュミエール兄弟から数えれば、映画の歴史も120年を超えた。 まだ120年とも、もう120年とも云えるが‥。 半世紀以上映画を楽しんできた身には、急激な成長進化、成熟期を経ていまや気息奄々、絶滅危惧と映らぬでもないのだが‥、「そんなのは…
映画はいろいろある。面白い映画、考えさせられる映画、知り学ぶ映画、感じる映画、身を任せる映画、ゆだねる映画、‥‥。 どう見ようとどう見られようと構わないが、管理人は出来るだけ白紙で、予備知識・事前情報なし、色を付けないで見たい方だ。出たとこ勝…
暫らくぶりに書く。 浦崎浩實さんの本『歿 映画人忌辰抄』『歿2 映画人墓参抄』【ともにワイズ出版 刊 忌辰抄は2010年12月 墓参抄は2013年3月】を読んだ。 巻末の著者紹介に「ゴースト・ライター(“代作”の方ではなく、“死魂”ライター)」 とあった。雑誌「…
2016年に亡くなった二人の演劇人について書かれた本を読んだ。 西堂行人著『蜷川幸雄×松本雄吉 二人の演出家の死と現代演劇 』 【2017年6月 作品社 刊】 著者には悪いが、あまり感心しなかった。 それなりに真剣で誠実なのは分かるが、 浅くて軽くて鈍い。志…
ここしばらく映画関連本のあまりの稚拙さ・駄本の連続にうんざりしていたが、 面白い本に出合った。 石井公成著『〈ものまね〉の歴史』【吉川弘文館 歴史文化ライブラリー448 2017年6月1日 刊】石井さんは1950年生の駒澤大学仏教学部教授。 冒頭に「仏教との…
大衆演劇はきらいじゃない。 とはいうもののここ十年以上はご無沙汰なので、ファンとはとても言えない。それでも昔から現風研の年鑑や鵜飼正樹さん、橋本正樹さんらの本は熱心に読んできた。そんな流れで、木丸みさきさんのコミックエッセイ本『私の舞台は舞…
あいのこ:合いの子、間の子、混血児、‥‥。 昔はハーフといった。それが差別的だと、今はダブルと言うようになってきた。 ハイブリッドなんて表現もある。 異種交配。新しい。めずらしい。これまであまり見たことがない。 馴染みがない。今までと違う。よく…
京都の旧作VHS専門レンタル店「ふや町映画タウン」のことは何度も書いてきた。 店主のオーモリさんは、ずっと若い後輩なのだが、 会うたびに様々な刺激をもらう頼もしき映画人(映画本位制で生きている人)の一人だ。その映画的記憶・映画史的知識には毎回…
J・ルナール『博物誌』の「蛇:ながすぎる」じゃないが、 「映画:ながすぎる」。 最近の映画は2時間を超えるものが増えているように思う。 長くても面白ければ、いくらでも付き合うし我慢もできるが、冗長冗漫ダラダラもたもた、どこに連れて行ってくれる…
「需要があればこその細分・専業化」 先日読んだ本で印象に残った言葉だ。 【出典は 土田昇著『時間と刃物 職人と手道具との対話』2015年1月芸術新聞社 刊】 本文では、「細分・専業化が品質の安定と価格の低下を約束する」と続いて、 道具鍛冶職の近代化そ…
悲劇じゃない。非劇。 非劇場上映:映画館・劇場以外での上映形態を指す言葉だ。 統計に当たったわけでもないので例によっていい加減な当てずっぽうで云うのだが、 映画を映画館以外で見るケースは飛躍的に増えているのはないか。そう思っている。 自主上映…