2ペンスの希望

映画言論活動中です

細・細分化 = 細々・分化

四方田犬彦さんは、関心領域もかぶり、年齢も近いことから、何冊か読んできた。
もっとも著作は膨大なので、テキトーなつまみ食い読者に過ぎない。それでも映画関連、漫画関連はマメに読んできた。感心することもあれば、そりゃないよ同意しかねる、というのも、勿論ある。
先日 “週刊読書人”一面のインタビューを読んだ。 『漫画のすごい思想』という新刊の告知記事パブリシティだ。【週刊読書人2017年9月22日 第3207号】
とりわけ目新しいことが載っていたわけではないが、こんな箇所があった。
Q:現在の漫画について
A:「すごい漫画家を一人見つけるために十人のどうでもいい漫画を読まないといけない状況です。現在の多くの漫画は巨大な出版資本の中で読者層は細分化されています。サラリーマン、サラリーマン(独身)、サラリーマン(彼女なし)、中高年のサラリーマンというように細分化されて、それに見合った漫画がある。そういう漫画を読んだ時に、自分はこの漫画の読者として考えられていないと外側にいる気持ちになります。そういう意味で今の漫画にある種のデカダンスを感じています。
デカダンス」とは、世紀末 「退廃」「萎縮」ということだろう。
細・細分化=細々(ほそぼそ)・分化。つまりは、「ほそぼそ:かろうじて、やっとこさ」 +「分化:等質・単純なものが異質・複雑なものに分かれていく」
どこやら、慢性貧血状態、昨今の日本の映画状況に重なって見えてきた。
(上述:四方田さんのインタビュー ウエブでタダ読み出来る。
       http://dokushojin.com/article.html?i=2082