2ペンスの希望

映画言論活動中です

2012-05-01から1ヶ月間の記事一覧

These3: 地産地生

新しい日本の映画のために These3は、「地産地生」である。岡山県真庭市でトマト農家を経営しながら映画を作る「陽光プロ」のスローガンを拝借する。消費の消ではなく、「生きる」の生。 「その土地と営みを見つめる“地産地生”映画」と冠して、彼らはこう綴る…

These2: 複数の掛け算

新しい日本の映画のために These2は、「複数の掛け算」或いは「徒党のすすめ」撮影機材の小型軽量化や編集仕上げ技術のデジタル化などによって、映画は独りでも作れるようになった。実際、個人で作るというケースが増えている。 一億総映画作家時代。 しかし、…

These1: 道と経済の合一

予告どおり、暫く「新しい日本の映画のために」と冠したシリーズを始める。 シニシズム、ニヒリズムとは無縁に、健全に健康に行きたい。 といっても、脱線、暴投、あれ球 必至。ご容赦願う。新しい日本の映画のために These1は、「道と経済の合一」吉本隆明…

多義性再論

先日、ブログを愛読してくれているという先輩映画人から、こんなことをいわれた。 映画の多義性というオマエさんの主張・理屈は分かった。けど、それを実現する術・方策が何なのかを語れ、と。 うーむ、これは難問だ。とっさに、それが分かれば世話は無い、…

未だ見ぬアナタ

未だ見ぬアナタと出会いたい、という欲望。それがすべての創作・表現の原動力なのだろう。 とりわけ、映画は、時代や社会、国境や世代を超えて受け入れられるだけのキャパシティ(容量・可能性・素地)を持っている。 もっとも、それは、「文字・言葉と違い…

誰かが見ている

今日のお題は、「誰かが見ている」 十年ほど前に時代劇専門の東映京都の大部屋俳優福本清三さんに、似たような本【どこかで誰かが見ていてくれる ―日本一の斬られ役・福本清三著創美社2001年11月刊】があったが、ちょっと違う。けど、どこか似た話題だ。拙管理…

希望

日本の映画界には、もはや上がるべきメジャーなんぞ存在しない。 大手映画会社から学生諸君の自主映画まで、皆が皆低空飛行を余儀なくされている。 それでも何とか日本の映画のミライを作ろうとしている若い世代(20代30代まで)を揶揄したり、高みから説…

取り扱い注意

引き続き、別の角度からドキュメンタリーのドラマ化について考えてみたい。 ドラマのドキュメンタリー化の代表例が『裸の島』なら、 ドキュメンタリーのドラマ化と聞いて一番に浮かぶのは、1965年公開の市川崑監督作品長編記録映画『東京オリンピック』…

脱・予定調和

ドキュメンタリーは安易なドラマ化にも陥る。 作り手の作為という名の演出によって、表情は感情となり、事実の断片はつなぎ合わされて物語となる。 とりわけTVのドキュメンタリー番組には、その傾向が顕著だ。分かりやすいお涙頂戴。視聴者の想像力を安く見…

不純度

今日は、映画の不純度の話。映画には、思わず知らず映ってしまうものがある カメラを向けること、フレームを切る取ることで、作為しないものまで写ってしまう。とりわけ、撮影所が減り、セット撮影ではなく、ロケーション撮影が増えるにつれて、その傾向は顕…

違いはない あるのは差だけ

以前にも一二度書いたことがあるが、「映画にはフィクションとノンフィクションの間にさしたる違いは無い。程度の差はあっても、本質的な差はないのではないか」 最近ますますそう思うようになってきた。 コレまでいろんな映画を作ってきた。その経験に照ら…

中二病

「個体発生は系統発生を繰り返す」というケッヘルの反復説については、批判も再評価もあるようだが、映画の世界に当てはめて考えてみたい。 何処かで進化を忘れてしまったかのような発育不全が痛ましい。なまじ歳だけは食っている「偽・大人」、何処かで成長…

スマホで映画

昨日京都の「ふや町映画タウン」のことを書いた。その時、ホームページのURLを書いておこうと思っていて忘れてしまった。( ったく、歳は取りたくないないものだ。) あらためて、記して置く。http://dejan.dyndns.tv/f_eigatown/ 騙されたと思って是非一…

ふや町映画タウン

しばらく間が空いた。今日から第2ステップに入るつもり。 第2ステップのテーマは、《新しい日本の映画。その為の準備体操》。 といっても別に褌を締め直してとか、しっかりやろうということでもない。 ナスがママなら、キュウリはパパだ。‥‥ある年代には分…

notes 8 あれもこれも

拙ブログも百を超えた。 ここらで一度、中間総括をしてみたい。そこで、ほぼ二ヵ月ぶりの 《ご近所大長征》note−その八は、「あれもこれも―欲張方針で」 あれかこれか ではなく あれもこれも 欲張り方針を提起する。 これまでは、なべて、あれかこれかを…

論争つづき

昨日の《目隠しされた馬》論争 興味深いのでもう少し続ける。お付き合い願いたい。 三木茂は1905年・明治38年生れ・劇映画の世界から記録映画に移って活動したカメラマンだ。彼の反論が面白い。雑誌「文化映画研究」1940年3月号から引用してみる。…

論争

「カメラマンはルーペ(ファインダー)からしか物を見ない。それでは目隠しされた馬だ」と監督・亀井文夫が言い、「映画はルーペをのぞくことによってしかつくれない。しかもそれは熟練を要するプロの仕事である」とカメラマン・三木茂が応える。1940年の頃…

小川紳介

GW仕様 役者シリーズその3ドキュメンタリー映画の小川紳介も亡くなってから20年が経った。イマドキの劇映画とドキュメンタリーを見たら、彼は何と言うのだろうか。プロの役者たちに混じって彼が出演しているのは劇映画=東陽一の『日本妖怪伝サトリ』(19…

野坂昭如

GW仕様。役者シリーズその2。野坂昭如。1930年10月生まれだから、満81歳か。 9年前 脳梗塞で倒れ現在リハビリ中。 映画は藤田敏八監督『バージンブルース』(1974年 日活)野坂は40代半ばだ。 埋め込み拒否のようなので、YouTubeに見に行っ…

たこ八郎

GW仕様で行く。今日は役者シリーズその1。たこ八郎が好きだった。名台詞「迷惑かけてありがとう」を残した。 「迷惑かけたら、御免と謝る」のではなくて「(迷惑かけさせてくれて)ありがとう」と感謝を捧げたい、というのだ。含意を深読みすると‥人が生きると…

地産地生

昨日は、「ご当地映画」について取り上げた。うっすら後味の悪い思いが残ったので、 今日は、ひとつ口直しを‥。 岡山県でトマト農家をやりながら映画を作る山崎樹一郎さんの長編第一作をあげる。 予告編で、映画のレベルもラベルも大違いだということが上手く…

ご当地映画

相変わらずご当地映画がお盛んなようだ。何とか話題を作って地域活性化を図りたい「ご当地」と、何でもいいから映画を撮りたい「二流の映画人」が野合しての無駄遣いとしか思えない事案がゴロゴロある。 うわべだけの地域礼賛、嘘臭い幸福感。 出資からロケ・サ…