2ペンスの希望

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These2: 複数の掛け算

新しい日本の映画のために 
These2は、「複数の掛け算」或いは「徒党のすすめ」

撮影機材の小型軽量化や編集仕上げ技術のデジタル化などによって、映画は独りでも作れるようになった。実際、個人で作るというケースが増えている。
一億総映画作家時代。
しかし、映画はみんなで作るもの、かたくなだが、そう思う。
それも、仲良しこよしの学芸会、文化祭ゴッコじゃなく
それぞれの職能、各パートがその優れた技量を競い合い、切磋琢磨することで「複数の掛け算」を達成する!そうありたいものだ。

お山の大将が、ひとりで旗を振って、ひとりで駆けずり回って、はたはついていくだけ。そんな光景は嘘だ。知り合いだから、友達だから、頑張ってるから応援したいし、映画作りは楽しいし、‥‥。それがいけないとはいえない。しかし、ゴールは知れている。
人間関係が煩わしい。だから、独りで作る。その方が自由自在にのびのびと自分の表現が出来る。そう考えての単独行もある。確かに人間というのは煩わしいものだ。けれど、独りで作ったものは、剛性は大きくなるかもしれないが、柔性には欠ける。弾性・しなやかさは乏しくなる。
一人より二人、二人より三人、三人よりもっと多く、‥。ソロよりコンビ、コンボ、タッグ、チーム、‥‥フルオーケストラとまでは言わないが、技量の確かなスタッフ、複数の掛け算が映画を豊かにすることを忘れないでほしい。
ラソンでも短距離走でもない。同じひとつの下駄を履いて走る「ムカデ競争」、それが映画の醍醐味なのだ。

映画は、映画館で見られることで鍛えられ、進化してきた。
(最近はスクリーンで見られるだけではなく、モニター視聴されることも多くなったが、)
そのことの意味と意義は、想像される以上に大きい。
全国、全世界でスクリーンに注がれる多数の眼差し(眼球)。その眼球を受け止め、その総体に拮抗するだけの胆力と魅力を備えた映画を作るためには、「複数の掛け算」が求められる。ここは譲れない。