2ペンスの希望

映画言論活動中です

見れば わかる というより 感じる 

見れば 分かる。何となくだが分かる。「分かる」というより、より正確に言えば、何かを「感じる」。映像ゆえだろうか。言葉には出来ないが、どちらが優勢か、技術力の差、気力の違い、空気の流れ、いろんなことが見えてくる。TV桟敷のお気楽観客の錯覚かも知れないが‥、生中継かぶりつき観客の特権ではある。

「分かる」ことには階梯がある。もちろん そんなことは承知している。それぞれにどこまでも長く続く階段があることだろう。その階段は、どんどん深く高くなることだろう。ルールもマナーもモラルも知らず、細かな技、高度なテクニックも、どれもこれもさっぱり分からない観客。どこまで何が分かってるのかは覚束ない観客。けど、観衆は間違いなく何かを「感じている」。知識の量、経験の有無・深浅を超えて、観客は心を動かされている。

 

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「百聞は一見に如かず」ということわざには管理人は懐疑的・〈眉に唾する派〉だ。けれども、言葉より映像が「感じる(感じさせる)」ことにおいて近しく親しいメディア=優位なメディアであることを、TOKYO2020OLYMPIC 競技TV観戦を通じて、感じている。

柔道の松本薫選手、卓球の平野早矢香選手、野球ソフトバールの藤川球児選手‥‥永くその道を歩んできた経験者 プロの解説、その凄さ・奥行き・底力も味わい深く、愉しんでいる、感じている。

 

 

なまもの すっぴん 男前女子

LDN2012 柔道女子 57kg級金メダリストの松本薫さん(1987生)に注目している。

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現役当時「野獣」と呼ばれた面構えは今も忘れられないが、それ以上のことは今回初めて知った。。

NHK総合の特設スタジオでのゲストトーク、武道館でのインタビュー、深夜のデイリーハイライトでの実技付き解説、どれも出色。画面から、松本さんの熱くてクレバーなサービス精神、感情の起伏がストレートに伝わってきて目が離せない。「心理面、技術面、両面が分かりやすくて、面白い」とネットでも高評価。

生ゆえの怖さと強さ。生放送では映画のような「練り製品」の加工・作り込みは難しい。人物の地金がそのまま出る。ありのままの人となり、すっぴんの本性が露呈する。ポロッとこぼれる本音、透けて見える本心、隠せない動揺、感情の起伏、ふとした表情が語る雄弁、‥‥。経験者ゆえだろうか、選手たちへの共感が深い。飾らず、つくろわない「すっぴん 男前女子」そんなキャッチフレーズが浮かんでくる。

現役引退後の今は「アイスクリーム屋」をやっているようだ。この転身もあざやか  技あり 。

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「大切なのは「教えてもらえる人」になること。私自身、何歳になっても年下からも教えてもらえる人でありたいと思っています。

どこかのインタビューで語っていた言葉も、清々しくて素敵だ。

 

なまもの カジュアル 

今更だが、テレビは生もの、ライブに限る。生中継が一番面白い。事件・事故‥森羅万象の只見装置。

 とりわけ、スポーツ中継は「筋書きのないドラマ」。罪なく気楽に楽しめる恰好 最強のプログラムだ。勝手気まま・無責任に「手に汗握れる」野次馬覗き見邦題遊具。出来もしないのに、ゴルフ中継やテニスのグランドスラムにも見入ってしまう。試合の進行もさりながら、的確で的を射た専門家の「中継解説」が食欲をさらにそそる。

今回、ハマったのは、瀬尻 稜さん(1996生)NHK ETV スケートボード ストリートの中継解説。すぐにネットでトレンド入りした。

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「鬼ヤバいっすね」「いやぁ~ハンパないっす」「肌感(覚)でいうと」「ゴン攻め」「ビッタビタ」‥‥、およそ「NHKらしくない」「フランクすぎる」言葉遣いが、ツイッターで盛り上がった。管理人も二日間たっぷり付き合ったが、確かに新鮮だった。詳しく的確で分かりやすい。「スケボーに詳しい隣の兄ちゃんと見てるみたい

フランクだけどルーズじゃない。下品じゃない。そのバランスがいいですね。選手へのリスペクトも感じる」‥‥

一言で言えば「カジュアル」。構えない 飾らない、隠さない‥気楽にくつろいだ普段着感覚。ハレではなく どこまでもケ。その爽やかさ・清々しさが伝わってくる。

彼も凄いが、実況を担当した局アナも凄いな、と感心してたら、なんとNHKのアナウンサーじゃなく、民放フジテレビの倉田大誠アナ(1982生)だった。

オリンピック中継ならではの特別編成枠(JC:ジャパンコンソーシアムという混成チームによる放送枠割り当て方式 だそうだ)・晴れ舞台で生まれた「普段着」放送コンビに座布団一枚。(←古すぎて ゴメンっす)

 

なんだかなぁ  企画書が透けてみえるようで‥

逝きし世のオリンピックについては書いても、今回の「TOKYO2020」については一切 触れないつもりでいた。ただ( 故  吉本隆明さんや 故 橋本治さんたちの足元にも及ばぬ〈二流〉の)テレビ好き、スポーツ観戦好きとしては、テレビ桟敷時間が始まっている。そこで宗旨替え。

「なんだかなぁ~」と思いつつも、感じるところの日々の毒を少々綴ってみようと発心した。一応、自分に言い聞かせる弁明・言い訳は用意した。(二流インテリの悪い癖だ)

 

その① テレビというメディアについて今一度 考える

その② スポーツという娯楽・余興の味わい方を考える

その③ マスメディアからネットSNSまで情報源の多様な広がりを踏まえて「映画」の再定義を試みる

(なぁに、御大層なゴタク、夜郎自大そのものだが‥)

 

今更ながらだが、テレビは生もの、ライブに限る。中継が一番面白い。事件・事故‥森羅万象の覗き見・只見装置。どこでもドア。

 

トップバッターは「開会式」のテレビ放映。

孫と一緒に見た。10歳男児が唯一拍手したのは、ピクトグラムのパフォーマンスだった。

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ロートルいじわる爺さんは感心しなかった。ばらばら小ネタの数珠つなぎ、すべては想定内の展開。小手先のアイディアの羅列からは、感動も発見もなく、世界に向けたメッセージも見えてこなかった。どれもこれも代理店のプレゼン・企画書の文言が透けて見えてくるような「底の浅さ」、まるで時代・社会の写し鏡のようでいただけなかった。

野田眞吉(My Olympics)

野田眞吉さんは記録映画の先輩の一人だ。本も読んだし、映画も何本も見ている。何度かお会いもした。忘れられない。

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『ふたりの長距離ランナーの孤独』は9分の実験映画だが、1964東京オリンピック関連のもう一本。こちらは当時盛んに作られたスポンサード映画。松本俊夫と共同演出したものだ。時間のある時のどうぞ。


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(当時の日本人の顔つきはアジア人だったなぁ。) 

月桂樹の鉢植え(My Olympics)

1936といえば、ベルリンオリンピック。マラソンの金メダルは朝鮮人選手孫 基禎、銅メダルは同じく南昇龍選手。

二人は表彰台で日章旗を見上げず「うつむいたまま」、月桂樹の鉢植えで胸の日の丸も隠している。

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その様子がレオ・リーフェンシュタールの映画『民族の祭典』に収められている。


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黒いこぶし(My Olympics)

1964 東京オリンピックの時は、大阪の高校生だった。映画に夢中で、市川崑の公式記録映画を封切り満員の映画館で観て感心・興奮した。アベベにも。渋谷昶子の映画『挑戦』にも。

1968 メキシコオリンピック。大学二回生の秋。男子200m決勝の表彰台をくっきり憶えている。

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星条旗に突き付けられた黒いこぶし。

実は銀メダルだった豪州のピーター・ノーマンも主張していたことは最近知った。没後 甥っ子が作った映画の予告編がYouTubeに上がっている。


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『Salute』剛直球のネーミングだが、考え抜かれた多義性含意のタイトルだ。

予告編を見て惹かれるところあったなら、是非コチラのブログも見て欲しい。(長文で時間はとるが、損はない筈)

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