2015-06-01から1ヶ月間の記事一覧
キツイ時代になってしまったもんだ。 ものがあふれ、選択肢は拡がった。指先一つで「リーズナブルなもの」が選び放題。 中には粗悪なパッチもんも混じるが、安くてそこそこに良い品物が格段に増えたのも又事実だ。日本全国至るところに百均やユニクロがある…
興行師と聞いて今一番に名前があがるのは、ジブリの鈴木敏夫プロデューサーだ。 ジブリファンでなくとも、宮崎・高畑の陰にこの人ありとよく知られた人物だ。大昔東京で仕事をしていた頃二三度会ったことがある。アニメ雑誌の編集者からジブリに移籍して数年…
数日前 現像所の試写室で古い友人と顔を合わせた。 粘り強く新作の日本映画をフォローし続けている奇特な一人だ。 日本の映画界は最近ますますバランスを欠いて非道いことになっていると嘆いていた。 技術パートはまだしも、役者の暴走、演出部・製作部の衰…
映画もまた、世のあらゆる事象と同様に、毀誉褒貶に曝される。 名作 傑作 秀作 優作 労作 力作 大作 佳作 快作 怪作 偶作 愚作 駄作 凡作 神作 高作 上作 下作 真作 偽作 贋作 盗作 代作 模作 試作 習作 乱作 濫作 御作 拙作 頓作 珍作 絶作 遺作 鈍作 出世…
プロは計算高い。計算高くあるのは計算が出来るからだ。計算の出来ない者は計算高くあることなどとても出来ない。 プロは手を抜く。力も抜く。どこに力を込めてどこを抜けば効果的か熟知している。未熟なのは、抜くだけの手も持たない。 プロはやっつけ仕事…
シナリオに書いたからOK、映像に描いたから大丈夫、あとは、受け手の能力次第、 作り手の責任は果たした、伝わらないのは観客が悪いから。目が節穴。鈍いだけ‥‥よもやそうお考えではあるまいな。 忘れてもらっちゃ困る。描くことと伝わることの間には深く…
経済学の用語に「合成の誤謬」というのがある。 fallacy of composition ウイキペディアを見ると、 「ミクロの視点では正しいことでも、それが合成されたマクロ(集計量)の世界では、かならずしも意図しない結果が生じることを指す経済学の用語 」とある。 「…
お客が注文する前に、商品を発送するシステムをAmazonが開発し、アメリカで特許を取得済みだと教えてもらった。「投機的出荷」というのだそうだ。 注文される確率の高い商品を、あらかじめ梱包して中間地点まで運んでおく。「買うならもうすぐそこまできてる…
「アメトーーク」は管理人の数少ないテレビ視聴番組だ。 「読書芸人」の回を観た。【朝日放送2015年6月18日深夜0:30〜】トークゲストは、ピース又吉、オアシズ光浦、オードリー若林の三人。いずれも読書好きで知られる芸人さんだ。「お薦め本を十冊選んでほ…
目利きビジネス 昨日の続き。 「読みたい本ぐらい自分で選べ」何でもあなた任せにする最近の風潮は軟弱!情けない!嘆かわしい! すぐにもそんな声が聞こえてきそうだ。 《不勉強と無知》を指摘することは易しい。多分半分以上はその通りなのだろう。 それで…
目利きビジネスが人気だそうだ。 若い友人がテレビで見たと話してくれた。 一つは「air Closet」という「月額制6800円で一月に何着でも手元に届く」「女性向けオンラインファッションレンタルサービス」。始めたのは「ノイエ・ジーク neuer sieg」とい…
三島由紀夫の映画的絶筆は、「映画芸術」1970年8月号に載った「忘我」だ。 「どうしても心の憂悶の晴れぬときは、むかしから酒にたよらずに映画を見るたちの私は、自分の周囲の現実をしばしが間、完全に除去してくれるという作用を、映画のもっとも大き…
三島由紀夫は映画が好きだった。 『潮騒』『炎上』をはじめ原作提供は、生前に限っても『剣』『獣の戯れ』『愛の渇き』『美徳のよろめき』『お嬢さん』『複雑な彼』『純白の夜』『夏子の冒険』『永すぎた春』『にっぽん製』『不道徳教育講座』『肉体の学校』…
否定的だった言葉が肯定的に使われるようになってきた例については一週間ほど前にも幾つか挙げた。今日は反対。肯定的だった言葉に否定が滲む例。周防柳さんの新作小説『虹』。 周防さんは2013年 第26回小説すばる新人賞を受賞した作家。「子供のころから、…
昨日の富田克也さんの、別のところでの、こんな発言を見つけた。 MAMMO.TVでインタビューした 尹雄大(ユン・ウンデ)さんとの対談。 富田 : 要するに、俺たちが『国道20号線』をつくった頃、「つくられる映画の内容の幅が あまりに狭すぎる」とい…
MAMMO.TVに、『国道20号線』(2006)や『サウダーヂ』(2011)を作った映像制作集団“空族”の冨田克也さん(1972年甲府市出身)のインタビューが載っている。 MAMMO.TVというのは、「いま、高校生のあなたに、そして、かつて高校生だったあな…
最近若い衆と話していると、 映画だけで飯を食うのがとても難しくなってきたという話によくなる。 兼業、二足の草鞋、掛け持ち、‥‥。 三十を越えて、介護職やビルメンの仕事に就きながら映画を作っている人もいる。 工事現場の交通整理や土木作業員をしてい…
フィルムオンリーの時代から、ビデオテープ、DVD・Blu-rayを経て、ネットの時代となった今、映画のあり方は変わった。 以前、「受け手の能動性」というキイワードで考えてみたことがある。(ご興味の向きは、2013年9月13日「常在能動」http://d.hatena.ne.jp/ko…
昨日の石岡良治さんの本の末尾に、國分功一郎さんとの対談が載っている。その中でフランスの哲学者ヴラジミール・ジャンケレヴィッチの『還らぬ時と郷愁』が紹介されている。 國分センセ:「人は何かを懐かしいと思うんじゃなくて、ただ懐かしいと思うんだ」…
現代は、膨大なストックが目の前に堆積している時代である。 昔なら通り過ぎていったものが、山のように溜まっている。一人の人間が一生掛かっても見切れない量だ。 有り難くもあり、うんざりもする。 拙も含めオールド世代は、「最近の若い衆は自分の目で選…
「コレって まじ ヤバクねぇ?」といえば「危険なほど凄い・素敵だ」という肯定的な意味であることはイマドキ知られた話だ。ヤバイだけじゃない。 以前は否定的に使われてきたコトバが、肯定的なニュアンスで使われるようになった例は幾つもある。キッチュ、…
昨日に続いて、神山典士さんの本『ゴーストライター論』から。 あとがきに載っていた永江朗さんの実話。永江さんは著述家。幾つかの大学で、出版流通論や出版文化などを教えてきた。 「ある大学で教えていたときに『ライターになりたいのでゴーストライター…
神山典士 著『ゴーストライター論』【平凡社新書772 2015年4月15日 刊】を読んだ。神山さんは、2014年2月「佐村河内事件」をスクープし、週刊文春で一連の記事を書いてきたフリーランスのライターだ。出版業界で長く仕事をする中でゴーストライティングも何…
企業の映画から作家の映画へ。産業としての映画から 個人・事業としての映画へ 時代は変わった。 勝手に作って、勝手に見る。それでいいことになってきた。点数をつけるのは間違い。 個性尊重。みんなちがってみんないいってか。小鳥や鈴でもあるまいに。み…
諸悪の根源は、「作家の映画」にあるのではないか、そんな思いに駆られる。 カイエ・デュ・シネマの罪は重い。「作家主義」。彼らが登場するまでは、映画は「企業と大衆のもの」だった。カイエ・デュ・シネマに影響されて「作家とインテリのもの」になってし…
「権威ばかりの映画界に風穴開けてやる」と1995年ムックからスタートした「○○秘宝」。お高くとまった映画スノッブ(勉強好きな映画エリート志願)糞喰らえ、と発刊した悪趣味確信犯だったが、20年経った今、映画スノッブ(勉強嫌いな映画落ちこぼれ)た…
高橋源一郎をインテリ源ちゃんと呼んだのは糸井重里だったと記憶する。 言い得て妙。達者ではしこく物知りだが、訳知り顔がたまに鼻に付く。それでも間歇的には読んできた。最近読んだ一節。 「カーテンを開いて、窓も開け、空気を入れ換えよう。そして、深…
前々から読みたいと思っていた本をやっと読んだ。佐々涼子さんの『紙つなげ!彼らが本の紙を造っている 再生・日本製紙石巻工場』【早川書房 2014年6月初版 刊】 ポーズ写真がいかにも昭和でほほえましいが、それなりにヒットし、本好きの間では知られ…