2ペンスの希望

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まじめ

否定的だった言葉が肯定的に使われるようになってきた例については一週間ほど前にも幾つか挙げた。今日は反対。肯定的だった言葉に否定が滲む例。周防柳さんの新作小説『虹』。 周防さんは2013年 第26回小説すばる新人賞を受賞した作家。

子供のころから、おもしろい人と言われたことはない。おもしろくなければなに?まじめ?そうだ。まじめな人だと、私(主人公)は言われつづけてきた。‥‥中略‥‥
まじめって、なんなのだ。 おもしろいの反対語か。 おもしろくないの同義語か。
おもしろいのはよいことで、まじめは悪いことか。
 ‥‥中略‥‥
おもしろいのは美徳?まじめは悪徳? バカな。
まじめで正しのが悪い。いったい私
(主人公)はどうすればよかったのだ。
                                    赤字=本文 黒字=註記
そのとおり。
おもしろくなければ人間失格みたいに言われる風潮は、絶対おかしい。
まじめが肩身狭く馬鹿をみるなんてのは、間違っている。
(小説は、ミステリ仕立て。断罪と再生の物語。 真面目で面白かった。)