2ペンスの希望

映画言論活動中です

2022-02-01から1ヶ月間の記事一覧

わたしは観たいのだ

いつ頃からだろうか、映画を観ることより研究することの方が偉い、なんて「勘違い」が蔓延し始めたのは? 「わたしは観たいのだ。次にどんなことなるか知りたいのだ。この巻きこまれたい—―我を忘れたい—―という願望が批判力のさまたげになることはない。それ…

「ほんとう」信仰よサヨナラ

「この映画は純然たる記録であって、しかも単なる記録に止めてはならない。 昨今人々は現実に対して中毒症状を呈している。「事実は小説より奇なり」という言葉を、全く無邪気に受け入れ信じ、ほんとうでないと、或はほんとうらしくないと鼻もひつかけない精…

使う神経 動かす筋肉

陸上走に100m短距離走から42.195km長距離マラソンまで沢山の種目があるように、映画も短編から長編までさまざまだ。中には7時間9時間越えなんてものある。 向き不向き、得手不得手がある。持ち味。時間適性。時間適正。 使うアタマも神経も違う。動かす筋肉…

観客 ⇒ 視聴者 ⇒ 利用客

映画がパッケージ化された時代を経て配信の時代に入った今、"観客"ということばがそぐわなくなってきたことについては何度か書いてきた。 kobe-yama.hatenablog.com kobe-yama.hatenablog.com[ 「エリートであると庶民であるとを問わず、観客ひとりひとりを…

訳本『ビデオランド』

ダニエル・ハーバートというアメリカ人が書いた本『ビデオランド レンタルビデオともうひとつのアメリカ映画史 』をパラパラ読んだ。【2021.12.20. 作品社 刊】 新型コロナでさらに拍車のかかる「文化の断片化、社会的な疎隔が進む」ご時世にあって、「映画…

勝負師 研究者 芸術家

「棋士は「勝負師」と「研究者」と「芸術家」の三つの顔を持つべきだ、というのが私の年来の持論である。」谷川浩司棋士の言葉。将棋の世界ではつとに有名な言葉だ。映画の世界にも当てはまりそう。先人の歴史をつぶさに「研究」し、自らに固有の表現(手数?…

白黒

「白黒つける」という言い方がある。もごもご むにゃむにゃ 曖昧にするんじゃなく、ハッキリさせる。是か非か、善か悪か、真か偽か、嘘か誠か、OKかNGか、YesかNoか、‥‥明確にする。二つに分けてどちらかハッキリさせてスッキリする。そこで一安心、思考は停…

衆人環視

映画は一人で作って一人で見る 映画はみんなで作って一人で見る 映画は一人で作ってみんなで見る 映画はみんなで作ってみんなで見る 四つのスタイルがあるが、さてお好みはどれ? そう問われたなら、管理人は間違いなく「みんなで作ってみんなで見る」に手を…

二つの大切

「誰に向けて何を言うのか」 「とにかく調べて調べて調べ尽くすこと」 今の日本の映画に欠けているものはいっぱいあるけれど、とどのつまり この二つなんじゃないかなと思ってる。 かつて沖島勲監督は或る座談でこう発言していた。 沖島「単にシステムに乗っ…

『捨身な人』:共同制作 著作権

小沢信男の『捨身な人』【2013.12.20. 晶文社 刊】を読んだ。小沢本はどれも皆 サラリとしながら濃厚な味わいで舌を巻く。池内紀は「その書きものは溌剌としてエスプリとユーモアに富んでいる。やんわりと毒がこもっていて、辛辣で鋭い。それでいて表現に恥…

エレベーターは血糊べったり

扉を開けたらエレベータの中は血糊でべっとり。 神戸・王子の美術展『横尾忠則の恐怖の館』の趣向である。 展示室ものっけから「乱歩迷宮」という 暗室・お化け屋敷仕様。写真撮影OKという愉快・太っ腹。 非常口の扉にはインクジェット・プリントで「週刊 少…

濱口 算算 往還 二刀流

インディーズから始めた映画監督は、メジャーデビューしたあとは、大きなバジェットでの仕事に移行・専念することが多い。お金も役者もふんだんに使える、何もかもが桁違いなのだからそうなるのは当たり前だ。けど、その分、縛りや負荷も大きくなる。博打の…

濱口 燦燦 間:あいだ はざま

濱口竜介 in ジャパン・ハウス・ロサンゼルス主催オンラインイベントから三つ目。イベントのテーマは「日本映画における間(スペース)」というものだった。 ■ 間:あいだ はざま あい ひま なか あわい ‥‥ま 「“間”に関してあまり概念的に考えたことはありま…

濱口 讃讃 橋とトンネル その具体

濱口竜介 in ジャパン・ハウス・ロサンゼルス主催オンラインイベントの二つ目。 ■ 橋とトンネル その具体 「橋は、レイヤーを一望できる場所です。一つのレイヤーがあり、もう一つのレイヤーに向かい、その先にはまたレイヤーがある。トンネルは、それが目隠…

濱口 さんさん  映画と小説

濱口竜介さんがL.A.にあるジャパン・ハウス・ロサンゼルス主催のオンラインイベントで発言した記事を読んだ。備忘録的に幾つか書き留めておく。 ■映画・演劇・小説:アダプテーション(脚色)について 「文学作品が優れていればいるほど、単に文章を映像に…

好きじゃないけど「いい映画」

面白い映画感想文を見つけた。 * ⁑ ⁂ そもそも、原作はこんな話じゃないだろ……いや、こっちのほうが、原作より「面白い」んだけど、「映画的な面白さ」に寄りすぎてしまっているような気もします。 ラストシーンは、(正直、どう解釈していいのかわからない…

世代交代:ミニ・シアター 補遺

新しく産まれるミニ・シアターもあれば、健闘(悪戦苦闘?)を続ける映画館もたくさんある。座席数28席多分日本で一番小振りな映画館シネマノヴェチェント(横浜市横浜区)はフィルム上映にこだわる。 同じく、横浜伊勢佐木町にあるシネマリンは、半世紀以上…

シモキタ-エキマエ-シネマ K2

「シモキタ-エキマエ-シネマ K2」は2022年東京世田谷下北沢に2022年1月20日にオープンした映画館。1スクリーン座席数は71。企画運営会社Inclineを手掛ける大高健志さん(1983年生まれ 写真向かって右)と北原豪さん(写真向かって左)たちが手掛けた。 …

Shimane Cinema ONOZAWA

「Shimane Cinema ONOZAWA」は、2022年1月26日島根県益田市あけぼの東町に新装オープンした映画館。座席数200。東京の映画館で働いていた和田浩章さん(1990年生まれ)と益田市出身の妻・更紗さんが、2008年に廃業した映画館をオーナーから譲り受けて復活さ…

ほとり座 新館

「ほとり座(新館)」は、富山県富山市総曲輪にかつてあった公設民営の映画館フォルツァ総曲輪の跡地に2020年6月 再オープンした映画館だ。シネマホール92席、ライブホール50席にカフェスペースを持つ。 YouTubeで動画を見つけた。 www.youtube.com 作ったのは…

jig theater

「jig theater」は、鳥取県東伯郡の汽水湖・東郷池を望む丘の上にある映画館だ。2021年7月に柴田修兵さん(1982年生?)と三宅優子さん夫妻が作った。 関西から移住してきた鳥取県湯梨浜町には映画館がなかった。 「ないのなら、自分でつくってしまえばいい…

世代交代:ミニ・シアター

ミニ・シアターの草分けと言われてきた東京神田神保町の岩波ホールが2022年7月29日をもって閉館するというニュースはちょっと前から聞いていた。 1974年の開業だから58年 健闘した映画館だ。座席数開業時232→220→現在192。故高野悦子さんはじめ、岩波律子さ…

本『傘のさし方がわからない』

岸田奈美さんの本『傘のさし方がわからない』【2021.10.20. 小学館 刊】を読んでいる。 あるとき「傘のさし方がわからへんねんてば」下半身麻痺で車椅子生活になった(奈美さんの)母が言った。 「人は一度自転車の乗り方を覚えると、10数年乗らなかったとし…

視線計測(アイ トラッキング)

アイトラッキングという言葉を知った。 ググってみた。 「ヒトの眼球運動を分析し、視覚的注意などを明らかにする生体計測手法。 ヒトの視線の場所(注視点)や動きを、アイトラッカーと呼ばれる専門の機械で計測。 取得したデータを分析し、よく見られてい…

4K 8Kって何なのさ

4K、8K、‥映像の高画質化が止まらない。もっとも、画素数だけでなく画面サイズとの兼ね合いもあれば個人差もあるので一概にはいえないようだが、人間の目が認識できる画面の細かさには限界があるとも言われている。 お構いなしに技術は進む。より細かく、…