濱口竜介 in ジャパン・ハウス・ロサンゼルス主催オンラインイベントの二つ目。
■ 橋とトンネル その具体
「橋は、レイヤーを一望できる場所です。一つのレイヤーがあり、もう一つのレイヤーに向かい、その先にはまたレイヤーがある。トンネルは、それが目隠しをされている状態で、どこを走っているのかわからないぶん、抽象度が高い空間になります。
後半に行くにつれてトンネルの描写が増えていくのは、この映画の抽象度が上がっていくことと比例しています。空間も時間も凝縮されたものになり、昼のショットからトンネルを抜けると夜になり、晴れている空間からトンネルを抜けると雨が降っているなど、トンネルを抜けるとすでに変わってしまっているところを編集で選びました。トンネルを潜り抜けることで、キャラクターも変わっていき、それが観客にも届く変化になると思っています」
全ては意図して、計算され。計画的。当たり前のことだが、昨今やる人は少ない。濱口さんはそれをちゃんとやっている。それだけのことだが、稀有だ。