2ペンスの希望

映画言論活動中です

2013-10-01から1ヶ月間の記事一覧

こどもの自由

1954年刊行の岡本太郎『今日の芸術』にこんな一節がある。 「芸術が特殊技能をもつ名人にしかできないものではなくなくなって、だれでもが作れる、ほんとうに幅ひろい、自由なものに変わってきた、その点にこそ革命の 実体があるのです。だが、「だれで…

プロとアマ

プロとアマの区別は難しい。還暦を越える歳になっても良く分からない。 銭が取れるかどうかが一つの指標なのだろうが、じゃあ実業団・社会人野球はどうなんだと言われればスッキリしない。腕の有無という判断基準も今ひとつハッキリしない。 玄人と素人とい…

映画二本

今日は、古くからの知り合いが作った新作記録映画を二本紹介する。『旅する映写機』と『SAYAMA みえない手錠をはずすまで』。消え逝く35mm映写機の旅路を辿った映画と、50年前の冤罪を晴らすべく再審請求を続ける人物を追った映画。 『旅する〜…

わかってるって

1982年1月〜83年12月雑誌『話の特集』に連載されていた糸井重里の『私は嘘が嫌いだ』にこんな一節があった。 「何にでも本来のありようがあるはずだ、という考え方を私は好まない。本来とか原点とかを云々すると、必ず現在が誤りだという結論になっ…

「映画に似ること」似て非なるもの

ちょっとしたことで、1985年1986年のPFF(ぴあフィルムフェスティバル)の選評を読んだ。30年近く前、自主映画といえば8mm映画だった。若手の登竜門としてその後、毀誉褒貶・功罪が言われるPFFだが、審査員は当時すでに安直な粗製濫造に…

藤圭子

昨日書いたCSの藤圭子歌番組。驚いたのは何十年ぶりなのにどれもこれも殆ど諳んじて一緒に歌えたことだ。毎日毎日耳にしていた日々が確かにあったのだ。 ということで、今日は藤圭子。 何にしようか迷ったが、女のブルース。【1970年 作詞:石坂まさを…

ドラマとニュース

人から教えられて、BSのTVドラマを観た。 今年の初め亡くなった或る映画監督とその夫人を題材にした60分。TV局の謳い文句は「ドキュメンタリードラマ」だった。根本的なところで人物を捉え損ねていると感じた。 ただこれ以上は、ドラマの脚本・演出家・…

負のスパイラル

観客動員の減少⇒収支の悪化⇒製作コストの削減⇒スタッフの衰弱⇒品質の劣化⇒安上がり企画の横行⇒中身なし・外箱だけの過剰包装⇒法外な過大広告⇒信頼性の喪失⇒観客動員の減少に戻る。 負のスパイラル。貧すりゃ鈍する。 水を掛けるべきところに油を注ぐエセ映画…

枝葉より根幹

「物語そのものではなく、その物語に付随する様々なデータベース・その構成要素を消費の対象として受容する」ことを「データベース消費」というのだそうだ。 お恥ずかしい。不勉強で知らなかった。若い世代に人気の思想家・東浩紀さんが2001年の著書で命…

「関係の絶対性」

数日前から宇野邦一の『吉本隆明 煉獄の作法』【2013年8月19日みすず書房刊】を読んでいる。前提抜きで昨日読んだ箇所を引いてみる。 「日本の現代詩が、衣装やイデオロギーの転写ではない、真の意味の思想性を獲得するためには、内部世界と、外部現…

数字は怖い

何時頃からだろう、すべてを経済効果で換算する傾向が顕著になった。 2020東京オリンピックの直接効果(新規需要)は、或る大手都銀の試算(私算?)では1兆円強、波及効果は3兆円超(生産誘発+所得誘発)計4兆円規模だそうだ。 ノーベル賞受賞によ…

常温保存&平熱賞味

暫くサボった。このところずっとメディア・表現方法の違いについてチマチマ考えている。或る青春スポーツ小説を読んだ。500頁を超える長編小説だ。 知らなかった。 評判が高く熱烈なファンも多数居るようで、漫画になったり、舞台化され、映画にもなった…

半生(はんなま)時代って?

ブログを読んだ知人から質問が来た。 「半生(はんなま)時代の不幸」ってどういうこと、よく解らん?ということだった。 以前こう書いたことがある。【2012年2月5日「映画は練り物」】 映画は、そもそもからナマものではない。バンドのライブや生身の演…