2ペンスの希望

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数字は怖い

何時頃からだろう、すべてを経済効果で換算する傾向が顕著になった。
2020東京オリンピックの直接効果(新規需要)は、或る大手都銀の試算(私算?)では1兆円強、波及効果は3兆円超(生産誘発+所得誘発)計4兆円規模だそうだ。
ノーベル賞受賞による経済効果は100億円ということらしい。(さっきのラジオで言っていた。) いやはやご苦労なことだ。誰も下品なことだとは思わないのだろうか。数字に置き換えれば分かり易いということなのだろうが、それで何が分かるというのだろうか、何か大切なことを考えないで済ませてしまうことに繋がってしまうのではないか、そんな野暮・嫌ごとのひとつも言ってみたくなる。
数字は怖い。正直だが、嘘もつく。
ハリウッド製の新作には「歴代興行記録を塗り替えた大ヒット作」という宣伝文句が数限りなく使われる。どこか怪しい。記録更新がどうした。映画の出来とどう関連してるんだ。
ひっそりと公開された映画がとてつもないパワーを持って拡がり、何時か何処かの誰かの心に届いて、魂を揺さぶり続けることだってあるのだ。
古ぼけた手法と薄汚れた暖簾で旧態依然の流通市場支配を続けるメジャー(と云われる亡霊)を尻目に、生産→流通→消費を一気通貫する新しい部隊の台頭を願う。たとえ千本に一本でもそういう映画に出会えるならと、映画館通いが止められない。