2ペンスの希望

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生産より流通

ちょっとした訳ありで「平成24年度 兵庫県立西宮高等学校(単位制による課程)普通科推薦入学適性検査問題」というのを読んだ。
哲学者・内山節さんの本「怯えの時代」からの出題だ。
歴史をみるかぎり経済の出発点は生産ではなく流通である。
生産→流通→消費で経済が成立するのではなく、流通→生産の順で、さらには消費市場の成立→流通→生産の順で経済は形成されていくのである。」とあり、林業と漁業の例を挙げている。
たとえば林業は山に木があるから発生するのでも、その木を切る(ママ)労働をする人がいるから生まれるものでもない。木材を流通させる方法が見つかることによって発生するのである。江戸時代には紀伊半島地域や木曽、秋田、関東、大分の日田地方などで林業地が形成されるが、それは吉野川紀の川熊野川木曽川米代川利根川、荒川、多摩川筑後川などの木材を流送するのに適した川があったからである。‥‥、筏流しに向く川のあることが重要だった。つまりそのような地域から木材流通がはじまり、それが上流地域での木材生産をうながした。
 あるいは江戸中期に房総に漁村が発生してくる。江戸という大消費地が生まれ、魚を流通させる仕組みができたことで、大量に魚を取る人々が生まれたのである。目の前に良好な海があり魚がいくらいても漁村は生まれない。海辺で暮らす人々がいるだけである。ここでも流通が生産をうながした。
」【新潮選書『怯えの時代』2009年2月】
いささか癖有りだが面白く読んだ。
生産や労働が出発点なのではない、流通こそがキイだ
この主張 映画にも刺激的だ。ん?映画は経済じゃないって。そういう君は退場!
作るばっかり、作ることが先決、流通については後から考えればいい、ではマスターベーションではないか。それでいいというなら、勝手にやってくれ。
作りっぱなしでは始まらない。
誰に見せるのか、どう見せるのか、どんなお金・リターンを求めるのか、
流通重視の事業設計が欲しい。