2ペンスの希望

映画言論活動中です

2021-07-01から1ヶ月間の記事一覧

世代交代

世代交代は、人間だけにあるわけじゃない。競技種目も変わる。 TOKYO2020では、空手、 スケートボード、スポーツクライミング、サーフィンなど4競技16種目が増えたらしい(かつてあったソフトボールや野球も加えて6競技とすべきだ、いやいや今回パラリン…

つくりもののひよわ

生の強さに、作り物は敵わない。嘘のひ弱さ。金メダル獲得決定直後に民放で流れるCMの白々しさにぞっとした。「おめでとうCM」のうすら寒さ。事前の収録・制作物だということは、誰にだってわかる。もとより事前に作成準備したものなのだから仕方がないのだ…

見れば わかる というより 感じる 

見れば 分かる。何となくだが分かる。「分かる」というより、より正確に言えば、何かを「感じる」。映像ゆえだろうか。言葉には出来ないが、どちらが優勢か、技術力の差、気力の違い、空気の流れ、いろんなことが見えてくる。TV桟敷のお気楽観客の錯覚かも知…

なまもの すっぴん 男前女子

LDN2012 柔道女子 57kg級金メダリストの松本薫さん(1987生)に注目している。 現役当時「野獣」と呼ばれた面構えは今も忘れられないが、それ以上のことは今回初めて知った。。 NHK総合の特設スタジオでのゲストトーク、武道館でのインタビュー、深夜のデイリ…

なまもの カジュアル 

今更だが、テレビは生もの、ライブに限る。生中継が一番面白い。事件・事故‥森羅万象の只見装置。 とりわけ、スポーツ中継は「筋書きのないドラマ」。罪なく気楽に楽しめる恰好 最強のプログラムだ。勝手気まま・無責任に「手に汗握れる」野次馬覗き見放題遊…

なんだかなぁ  企画書が透けてみえるようで‥

逝きし世のオリンピックについては書いても、今回の「TOKYO2020」については一切 触れないつもりでいた。ただ( 故 吉本隆明さんや 故 橋本治さんたちの足元にも及ばぬ〈二流〉の)テレビ好き、スポーツ観戦好きとしては、テレビ桟敷時間が始まっている。そ…

野田眞吉(My Olympics)

野田眞吉さんは記録映画の先輩の一人だ。本も読んだし、映画も何本も見ている。何度かお会いもした。忘れられない。 『ふたりの長距離ランナーの孤独』は9分の実験映画だが、1964東京オリンピック関連のもう一本。こちらは当時盛んに作られたスポンサード映…

月桂樹の鉢植え(My Olympics)

1936といえば、ベルリンオリンピック。マラソンの金メダルは朝鮮人選手孫 基禎、銅メダルは同じく南昇龍選手。 二人は表彰台で日章旗を見上げず「うつむいたまま」、月桂樹の鉢植えで胸の日の丸も隠している。 その様子がレオ・リーフェンシュタールの映画『…

黒いこぶし(My Olympics)

1964 東京オリンピックの時は、大阪の高校生だった。映画に夢中で、市川崑の公式記録映画を封切り満員の映画館で観て感心・興奮した。アベベにも。渋谷昶子の映画『挑戦』にも。 1968 メキシコオリンピック。大学二回生の秋。男子200m決勝の表彰台をくっきり…

A movie is ‥‥

ヒッチコックは、映画についての言葉をいくつも残している。 今日はその中から、お気に入りを幾つか。 「 映画とは、退屈な部分がカットされた人生である。」 A movie is life with the dull parts cut out. ( Drama is life with the dull bits cut out. …

ホープ 死語

最近読んだ、或る小説にこんなくだりがあった。「若い頃、映画の世界でホープと称され注目されて、‥」 ホープ? 最近とんと聞かなくなった言葉だよな。昔は良く使われながら、最近では誰も口にしなくなった言葉を「死語」ということはロートル管理人も知って…

万人の私有 

ここしばらく「詩は万人の私有」というフレーズが頭から離れない。田村隆一の第二詩集『言葉のない世界』【1962 昭森社 刊】の中にあることばだ。 半世紀以上も前、一人の詩人が東京郊外に出来た新しい遊園地を訪れ、よほど激越したのか、一篇の詩を書いた。…

生産者 主 消費者 従 ? 対等 ?

昨日書いたサブスク配信のプラットフォーム『アジアンドキュメンタリーズ』(月額990円でアジア各国のドキュメンタリー映画見放題)代表 伴野智さんのインタビューが気になった。【「未知なる世界を日本へ」月刊雑誌『シナリオ』2021年7月号 日本シナリオ作家…

主導権 遷移

映画に限らず、あらゆる表現物の主導権は、作り手から受け手に移ってしまったようだ。かつての映画は、情報誌をたよりにマーキングして、映画館に出掛けて行かなければ見られなかった。上映時間に合わせて駆けつけて身をゆだね、全くの受け身で体感・享受す…

本『軌道 福知山脱線事故 JR西日本を変えた闘い』

すすめられて、松本創さんの本『軌道 福知山脱線事故 JR西日本を変えた闘い』を読んだ。(のっけから脱線余談だが、本はヒトにすすめるのもすすめられるのも難しい。人となり・性癖が滲み、恥部・陰部につながりかねないところがあるからだ。要注意事項。) …

今は昔:真理明美

デビュー作は1964渋谷実『モンローのような女』。昔々、松竹が和製モンローとして売り出そうとした。が、路線を間違えたようだ。管理人にとっては何と言っても『男の顔は履歴書』の李恵春。チマチョゴリ姿が眩しかった。相手役は、伊丹一三(後の十三)。眼…

今は昔:松尾嘉代

日活なら断然松尾嘉代。吉永小百合よりずっと上。お芝居の出来が違う。 1959今村昌平『にあんちゃん』 1964清順映画1964『肉体の門』1965『春婦伝』1966『河内カルメン』 ‥‥ 野川由美子も悪くはなかったが‥ 後にTV「初代 土スペの女王」となる前の彼女が好き…

今は昔:伊佐山ひろ子

伊佐山ひろ子はこの一本でミューズになった。 1972 日活 神代辰巳『一条さゆり 濡れた欲情』 日傘とジュラルミントランク。 トランクから漏れ出るおしっこの圧巻。 ⇓ ロケスナップ。カメラはアリフレックス35? 木製三脚が懐かしい。 中央アロハシャツのサン…

今は昔:任田順好(沢 淑子)

御贔屓の女優さんは沢山いた。 さてこのお方は? 隣りの男優さんと並べばお分かりの御仁も多いことだろう。 そう、加藤泰 組の常連俳優、任田順好さん(当時は まだ芸名:沢 淑子だった)。隣はもちろん汐路章さん。二人とも大好きだった。 藤純子も高倉健も…

地域情報誌『南部再生』

『南部再生』という地域情報誌を20年以上愛読している。 南部再生について – 南部再生 最新号 vol.64 は「まちの本屋」の特集。地べたの本屋のリアル情報が満載で愉しく読んだ。 激減が止まらない「まちの本屋」だが「古本屋」はどんどん増えているという事…

⑫AMAZONとの向き合い方:陥穽と拡張

パソコンやスマホの「リコメンド機能」はもはや当たり前になっている。便利だ、有り難いと活用する人もいれば、鬱陶しい、有難迷惑、止めてくれと拒む人もいる。もちろん表示を消すことも可能だが‥面倒だ。 通信、ネットワーク技術の進化でとめどなく情報爆…

⑪情報なのか ブツなのか

友人の元新聞記者が、数年前Kindleに変えて、身軽になったと喜んでいた。持ち歩く必要がない。家人に鬱陶しがられてきた本棚・蔵書は処分した。 潔いことだ。 スマートフォンやタブレットは、目に向けて光を当てるバックライト方式で、これが「目疲れ」の要…

⑩きん しん かん

出版業界も映画業界も、右肩下がりが数十年も続くのに、いまだに過去の方法論から抜け出せない。環境も技術も何もかも変わってしまっているのに、昔の発想にしがみつく。ベストセラー、ミリオンヒットの味が忘れられない。伊藤さんは語る。 「(本が売れな…

⑨一人の力から始まる‥のだが

伊藤さんと同じ岩手県一関出身で後輩・小学館の編集者 菅原朝也さんのエピソードが面白かった。(本の中には菅原さんの個人名は出てこないのだが‥) 「『世界の中心で、愛をさけぶ』は実は彼が見出した。高校の教員だったんですが、『大辞泉』の編集作業に応…

⑧数字を信じるな

今日も数字の話。但し、数字を鵜呑みにするなという伊藤さんの警告。 岩手日報の連載「いわての風」(2014/08/31)から引く。 「一部の特定の作家だけが面白いわけではない。むしろ、まだほとんど無名に近い人たちの中に面白い作品が多い。しかし、現実には、…

⑦「買うより借りて読む」

今日は「へぇ 知らなかった]の続き「数字」の話。 ちょっと古いが、伊藤清彦さんの岩手日報連載記事「いわての風」(2013/12/29)から引用させて貰う。 「出版業界の売り上げ不振は深刻度を増している。それを象徴するような現象が、実は昨年現れている。昨年…

⑥知らなかった

子供のころから本屋や古本屋は好きだった。書店勤務や出版関係の仕事に就いた友人知人もいる。そんな関係で多少の業界事情は理解しているつもりでいた。けど、この本『本屋と図書館の間にあるもの』で初めて知ったことも多い。 ■ 「平台・平積み」や「面陳」…

⑤フローとストック

本屋と図書館は、当然のことだが全く違う。本屋は本を売る小売業、お商売の世界、図書館は多く公立・公設・公営が多い。学校などに付帯附属併設される、別世界だ。自ずと役割分担がある。岩手日報の連載記事「いわての風」で伊藤清彦さんは何度も書いている…

④本屋と図書館は敵 ?!

数年まえ、文藝春秋の松井清人前社長が全国図書館大会で呼びかけたお願いが物議を醸したことがあった。「できれば図書館で文庫の貸し出しをやめていただきたい。これがお願いです」 2015年10月29日のブログに「出版業界の悲鳴も分からぬではないが、まるで矛…

③ラジオの力

うろ覚えで申し訳ないが「テレビは情報の 終末処理装置」と言ったのはいとうせいこうだったと記憶する。もう三十年以上昔のことだ。テレビで採り上げられる情報なんてその筋の業界ではとっくに知られた出がらし情報だらけ、よってテレビに流れ始めたら、流行…