2ペンスの希望

映画言論活動中です

本『軌道 福知山脱線事故 JR西日本を変えた闘い』

すすめられて、松本創さんの本『軌道 福知山脱線事故 JR西日本を変えた闘い』を読んだ。(のっけから脱線余談だが、本はヒトにすすめるのもすすめられるのも難しい。人となり・性癖が滲み、恥部・陰部につながりかねないところがあるからだ。要注意事項。)

2005年4月25日死者107人負傷者562人を出した鉄道事故をとりあげた本だ。【2018.4.6 東洋経済新報社 刊】

f:id:kobe-yama:20210716071606j:plain

「妻と妹を失った遺族でまちづくりプランナー」の淺野弥三一さんを軸に「JR西日本の技術屋社長」山崎正夫元社長国鉄民営化の改革を担い、JR西日本天皇といわれた」井手正敬元会長らを取材したノンフィクション。

手間暇かけた丁寧な取材が、通り一遍の社会派構図を超えた厚みを加えている。そう読んだ。「個と組織」「プロの条件」「現実とどう折り合うか」など色々考えた。尼崎、神戸、阪神淡路大震災、‥‥管理人の生きた時代と場所に重なる親近感もあるが、多少なりと巨大組織と関わって仕事をしてきた経験を持つ身には、他人事で済ませられない切実さが迫る。おすすめだ。

管理人が読んだのは単行本(東洋経済新報社)だが文庫本(新潮文庫)も出ている。

「個」として向き合いながら、「個」に返さない生き方。