2ペンスの希望

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ゴースト・ライター

暫らくぶりに書く。
浦崎浩實さんの本『歿 映画人忌辰抄』『歿2 映画人墓参抄』【ともにワイズ出版 刊 忌辰抄は2010年12月 墓参抄は2013年3月】を読んだ。
巻末の著者紹介に「ゴースト・ライター(“代作”の方ではなく、“死魂”ライター)
とあった。雑誌「キネマ旬報」末尾 訃報頁の脇で逝ける映画人に
ついての連載を永く永く続けておられることは知っていた。その都度読んでもきた。それを纏めた二冊。 まぎれなき良著。くまなく資料にあたり、関係者に取材・インタビューを重ね、現場(墓所が多いが‥)に足を運び、自分が見聞きしたことだけを小さく語る。
当たり前のことなのだが、それが出来る器量は並みじゃない。その徹底、その誠実。
俳優や監督スタッフだけでない。映画館の支配人さんや地域で長く自主上映を続けてきた人物など、採り上げる映画人は幅広く自在だ。一冊の本に纏まることで浦崎さんの映画観、映画人観が色濃く出てくる。
それにしてもすこぶるに“目の良い”人だ。死者に届く目、死者から届けられる目。
お盆が近い。近くの図書館にでもリクエストして読んでみられたし。