2ペンスの希望

映画言論活動中です

2021-03-01から1ヶ月間の記事一覧

排除アート

ひねくれ者同士のよしみで日経ビジネスオンラインの連載コラム『小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」~世間に転がる意味不明』を無料覗き見している。そこで最近、「排除アート」を知った。何年も前から物議を醸してることもはじめて知った。 「「排除アー…

✖だらけ

今日は忘備録。 薦められて読んだ心理カウンセラー袰岩奈々( ほろいわなな)さんの本『〇のない大人 ✖だらけの子ども』【2011.3. 集英社新書】に、こんなことが書いてあった。 「自分がいま何を感じているか、どんなことを考えているか、というような抽象的な…

大丈夫? 大丈夫!

撮影所の時代をいささかなりと見聞・共有してきた身としては、撮影所亡き後の映画作りの困難を思うとついつい「大丈夫?」と心配になってしまう。そんな時代になって早や半世紀が過ぎた。「基盤の液状化」「産業としての凋落」「スタッフ不在・スタッフ不用…

『Curators in Panic ~横尾忠則展 学芸員危機一髪』

近所にある横尾忠則現代美術館で新しい展覧会が始まった。『Curators in Panic ~横尾忠則展 学芸員危機一髪』 まだ見にいっていないが、楽しみにしている。2012年11月の開館以来、ほとんど欠かさず足を運んできたのだが、2020年は新型コロナのせいで足が遠…

美食より健啖

映画好きにも色々ある。出来るだけ良質なものを選んで食したい、俗悪な不良品は避けたい 見たくない人もいれば、とにかく映画なら何でも見るよという人もいる。さしずめ前者が美食家・食通なら、後者は大食漢・健啖家というところか。 劇映画オンリーとか、…

隅には置けない

けったいだが面白い本を読んだ。『喫茶店の時代 あのとき こんな店があった』【2020年4月 筑摩書房 ちくま文庫 は-51-1】 もともと2002年2月に大阪の出版社 編集工房ノアから出ていた単行本を改稿、文庫化したものだ。著者は林哲夫さん(1955年生まれ)。画家…

内田樹の研究室『七人の侍』の組織論

今日は、数少ない当ブログの読者のお一人ponymanさんから教えて戴いたブログ「内田樹の研究室 『七人の侍』の組織論」のご紹介。 「リーダー」「(見落としをカバーする)サブリーダー」「(理非を問わず従う)イエスマン」「切り込み隊長」「(異領域を生き…

0→1 1→100

弱冠17歳の新進映画監督と巷で話題の少年をTVで見た。アマゾンで買ったスマホ(iphone)とこれもアマゾンで買った三脚で撮影し、編集仕上げる現役男子高校生 シタンダ・リンタ(四反田凛太)君だ。 小学校3年生の頃から撮り始め、既に2時間以上の長編劇映画…

「が」より「げ」

先日、神戸で開かれたイベント「まちで映画が生まれる時」に出掛けてきた。 数年間 神戸に住み着き、演者たちと「即興演技ワークショップ In Kobe」を重ねて映画『ハッピーアワー』(2015)を作った濱口竜介さんらが出席した会だ。濱口さんの応援団、保護者…

配信フシン

またひとつ近所のレンタルDVDショップが閉店した。 身近な映画視聴環境がどんどん消えていく。世界はなべてネット配信全盛時代に向かっていくのだろうか。どこかフシンがぬぐえない。何万本のラインナップを謳われても、お試し無料、見放題と誘われても、食…

キネピアノ~「迷惑ぼうし」

昨日は夕方から大した用でもないのに大阪梅田に出掛け、ピアノの生演奏付きの無声映画を観てきた。 60席のミニシアターを借りて大阪市の文化事業助成を受けた無料上映イベント「キネピアノ」。20代30代女性の一人客や熟年カップル若い男子学生もちらほら混じ…

映画=入湯論

映画は入浴に似ている。常々そう思ってきた。 入浴すると、汚れが落ち身体が綺麗になり温熱作用で血管が拡がり血流が良くなり代謝が促進する。温まって疲れが取れる。気分がほぐれ、ほっこり気持ちよくなる。管理人の若い頃には町内に必ず銭湯があり、それ…

いじわる爺さん健在

蓮實重彦先生はホントに根性のねじれた「いじわる爺さん」だ。(間違って貰っちゃ困るが、ケナしてるんじゃないよ、褒めてるんだよ。とはいえ、いささか留保付き・取扱要注意物件ではあるけれど、ね。)本当にアホゥ と おゲイジュツがお嫌いなんですなぁ。…

削ぐこと 洗うこと

形式は問わないが、脚本には惜しまずエネルギーを注いてもらいたい。といっても、細部まで懇切丁寧に書き込んで事細かにデコレーションせよということでは全くない。むしろ逆だ。 根をしっかり張って、幹を太らせ、枝葉末節・枝葉は出来る限り「削ぐ」のが良…

「映画はドラマだ、アクシデントではない」

病床を見舞った吉田喜重に、小津安二郎が口ずさむように二度繰り返したとされる言葉「映画はドラマだ、アクシデントではない」が、頭から離れない。吉田喜重は「この私への遺言ともいえる最後の言葉の真意を求めて、『小津安二郎の反映画』を執筆した」と語…

回顧懐古 予告編 五連結⑤

五連結 最後。 ⑤『樹氷のよろめき』【1968年 制作:現代映画社】 「樹氷のよろめき」(公開年月日 1968年01月31日) 予告篇 『秋津温泉』『水で書かれた物語』とともに、管理人が喜重ベストスリーに数える一本。北海道・室蘭ロケ。後年演劇演出で名を成す蜷川…

回顧懐古 予告編 五連結④

しつこく 回顧懐古 予告編シリーズ④ ④『炎と女』【1967年 製作:現代映画社】 炎與女 Impasse │ 高雄市電影館【不安の時代-吉田喜重的情慾與虐殺】 性の幻想、脅迫、殺意、深淵、復権、業罰、‥‥ 監督ご本人は一作ごとに主題も表現スタイルも変えたと主張さ…

回顧懐古 予告編 五連結③

吉田喜重監督作品:勝手に回顧懐古 予告編シリーズ③ ③『情炎』【1967年 製作:現代映画社】 情炎 Flames of Love │ 高雄市電影館【不安の時代-吉田喜重的情慾與虐殺】 「エロ+文芸」路線?! 〈裸を売り物に「性の消費」という商品価値を前面に押し出そう…

回顧懐古 予告編 五連結②

①『水で書かれた物語』に続く予告編シリーズ。 吉田喜重監督ご本人曰く「性を主題とした五作品」 ②『女のみづうみ』【1966年 製作:現代映画社】 ③『情炎』【1967年 同 】 ④『炎と女』【1967年 同 】 ⑤『樹氷のよろめき』【1968年 同 】 ②から⑤までの四本は…

回顧懐古 予告編 五連結①

勝手に、「吉田×舩橋 対話本 刊行記念 レトロスペクティブ」「性を主題とした五作品」(談 吉田喜重) の予告編 連打 始めます。 ①『水で書かれた物語』【1965年 製作:中日映画社】 1965年 ニュース映画や記録映画を作ってきた中日映画社が劇映画制作に乗り…

覚悟と責任

吉田喜重×舩橋淳の対談集『まだ見ぬ映画言語に向けて』を「砥石」として読み終えた。得るもの多く、気づきもあった。時世の違いも、自制も自省もあった。人間の幼少時の体験と記憶がどれだけ深く人間の生き方を規定するものなのか、感慨もあった。お二人とも…

吉田喜重 × 舩橋 淳 ③

七回に及ぶ対話イベントを収録した『まだ見ぬ映画言語に向けて』450頁余り、メモを取りながら読みすすめて三日目。刊行後に交わされた往復書簡が載った書評紙『週刊 読書人』も併せて読んでる。ふーっ。 Ⅵ〈映画の観客論〉 舩橋の映画を「誘導・思わせぶりだ…

吉田喜重 × 舩橋 淳 ②

映画不信の戦前戦中派インテリと映画信者の団塊ジュニア蓮實チルドレン。ともにコマーシャルベースの映画に反撥し、エスタブリッシュに抵抗しながら我が道を歩むご両人の映画を巡る対談集『まだ見ぬ映画言語に向けて』、その2。 Ⅲ〈フレームの内と外〉 二人…

吉田喜重 × 舩橋 淳 ①

撮影所育ちの元映画監督(1933年生まれ)と、NY留学帰りの現役映画作家(1974年生まれ)の連続対話集『まだ見ぬ映画言語に向けて』【2020年12月30日 作品社 刊】を読んでいる。 帯にはこうあった。「映画とは何か。映像とは何か。我々はその問いに、答えを出しう…

学生フリーレンタル 続行中

次世代を映画の世界に引きずり込む王道はコレ、ココ⇒にある。 腰は低いが敷居は高い京都の老舗VHSビデオレンタル店 = 「ふや町映画タウン」が数年前から始めたVHS映画の「学生フリーレンタル」、今年も元気に継続中だ。登録すれば一年間 無料で映画を見放題…

罰当たり 承知

スマホ・タブレット世代に、映画の魅力をどう伝えるのか― 2004年に金沢で始まった「こども映画教室」は、「こどもと映画のアカルイミライ」を目指すことをミッションに、全国で映画とこどもを繋げる活動を行なう」と謳う。パラパラマンガ、くるくるアニメー…

不逮捕 詐欺師

少し前の話だが、お笑いコンビ・キングコング西野亮廣に千鳥の大悟がTV番組で言った言葉がSNSで話題になった。「捕まってないだけの詐欺師」だとか「もう捕まることのない詐欺師」と言ったとか。ディテールはどっちでもいいけど、言い回しには座布団 一枚だ…

「前工程は神様」

トヨタ自動車の「後工程はお客様」という言葉はよく知られている。「すべてはお客様のために」というわけだ。ぺこぱの松陰寺くんじゃないが、「悪くないだろう」けど、もっと大切なのは「前工程」なんじゃなかろうか。 大工さんの世界には昔から「段取り八分…

「写真写真って言ってもさ、‥

こんなインタビュー記事を読んだ。「写真写真って言ってもさ、写真なんて発明されてまだ一八〇年くらいだものね。それで結局ね、写真にとってのいちばん大きな変革っていうのは、やっぱりっデジタルの登場だと思うのね。それまでは化学じゃないですか。暗室…

「けしからん」

知人の御子息が立て続けにテレビに出るので見て欲しいと言われて、番組を見た。MBS系列『情熱大陸』とBSテレ東『マゼランの羅針盤』。NTT東日本と組んで自治体向け「シン・テレワークシステム」を開発、天才プログラマーとしてその世界では知られた超有名人…