2ペンスの希望

映画言論活動中です

2012-02-01から1ヶ月間の記事一覧

notes 6 戦略的

《ご近所大長征》note−その六は、「戦略的」大工さんの世界に、段取り八分という言葉がある。段取り・準備が万全であれば、既に八割方 出来上がったようなものといった意味だ。映画に置き換えれば、「一スジ=よく練られたシナリオを準備することが第一…

notes 5 スキルフル

《ご近所大長征》note−その五は、「スキルフル」賢そうな人ほど技術より思想を重視する傾向がある そう思うのは、気のせいか? 主題、モチーフ、テーマ>スキル テクニック 頭、口>手、ウデ 学者、研究者>技術者、職人 アーチスト>アルチザン ホント…

notes 4 ラジカル

《ご近所大長征》note−その四は、「ラジカル」ラジカルのラジとは、元々ラテン語で「植物の根・根っこ」を表す言葉だそうだ。 そう考えれば、根本的と急進的という一見相反する意味を併せ持つことも腑に落ちる。 肝心要(かんじんかなめ)なら、表層、漸…

notes 3 シンプル

《ご近所大長征》note−その三は、「シンプル」映画の仕事には幾つものパートがある。演出部と制作部。小さな現場に限らず、今では助監督が制作助手を兼ねるケースも増えているが、仕事の内容は厳然と違う。駆け出しの頃は、区分けが分からず困った。ある…

notes 2 フラット

《ご近所大長征》note−第二は、「フラット」徹底した相対化に努めること。絶対化しないこと。不要な権威は一切認めないこと。 つまり、すべてのものをフラットに位置づけ、捉えることである。上下でなく、横並び。優劣ではなく、役割分担。軍隊ではなく…

notes 1 オープン

日本の映画はいま〈液状化〉している、そう思っている。 根底から土台が揺らぎ、倫理も道理も混乱している。 新しい動きが生まれながら、なかなか蓄積に至らない。 いかにもひ弱だ。喧嘩も論争も減った。 何が足りないのか、何が大切なのか、 こうあって欲し…

映画命

仕事柄まわりに映画好きは多い。タイプもスタイルももちろん様々、80代から20代まで年齢層も幅広い。そんな中、この人はホントに映画が好きなんだなぁと思える人がいる。(中には、映画よりも、映画をやってる自分が好きなんじゃないの、といいたい人も…

映画を「所有する」

VHSが登場し(Betamaxもあった)DVD、Blu-ray Discなどのパッケージを経て、今はネット配信・ダウンロードする時代に入った。 子どもの頃は、映画は映画館で見るものだった。仕事を始めた頃も映画を作ること=スクリーンで上映することだった。劇映画も…

福本豊さんは正しい

野球解説の福本豊さんのコメントが痛快だ。ヒットになりそうなフライを全力疾走・ヘッドスライディングで間一髪・ナイスキャッチした外野手に一言。「走り出すのが遅いんや。もっと早う動き出せばきっちり落下地点でとれる筈や、下手糞、褒めたらアカン。」 …

10+ 映画のことばかり考えない

映画に関する本の出版は多い。 訊けば、思ったほど売れてるわけではないようだが、それでも映画本は毎年かなりの点数にのぼる。そこそこには売れるのだろうし、映画というものが何か言ってみようという気にさせやすいのかもしれない。 最近読んだ本の冒頭に「…

二世 ジュニア エンコ

まったく映画界に限った話しではないが、二世・ジュニアが増えている。血は争えぬというべきかもしれないが、小粒感はぬぐえない。映画監督の息子が映画監督になっていく例も少なくない(劇映画では、深作健太、天願大介、山下耕一郎山下智彦兄弟ら。ドキュ…

入魂の一球をこそ

芳しいことではないのだが、新作よりも旧作に感心することの方が圧倒的に多い。「そりゃあ年のせいだろう、感受性が鈍くなってるから‥」「いや確かに昔の映画のほうが作りも出来もしっかりしてる、けど、新作も見なくっちゃ話しにならない」などと、外野は様…

映画を見る力

映画を作る力とともに、映画を見る力を育てたい。 映画をどうみるか、その力を鍛えることが重要だ。選択の幅とキャパシティが狭まっている。求めるのは、泣ける映画か笑える映画、はたまたスカッとする映画。手前の金で何を求めようと勝手、ほっといてくれ、…

20〜25%

映画を劇場公開した場合に、制作者サイドに戻ってくる取り分は20〜25%程度だ。もっとシビアに13.5%という数字を挙げる人もいる。もちろん個々のケースは千差万別、力関係でも変わる。フラット興行(定額で映画料を払う興行)と歩合興行でも違う。今は少な…

家一軒 車一台

100スクリーン以上で全国一斉同時公開するような大手資本の映画はいざ知らず、中小・独立で作られる映画は、ざっと家一軒程度の予算だと言われてきた。もっとも家一軒といったって、十億を超えるような贅を尽くした豪邸もあれば、プレハブ仕様の建売住宅まで…

映画=映画館

スクリーン至上主義でもシネフィルでもない。映画は何が何でも映画館で、とは思っていない。さすがに、携帯ワンセグは御免こうむりたいが、ディスプレーでの鑑賞でも全然OK、モニター画面でもスクリーンでも、一本でも多く色んな映画を観たい、と思ってい…

映画のOSが変わった

映画のOS(オペレーティング・システム)が変わった。 フィルムからビデオテープへ、そして今メモリーチップへ。アナログからデジタルへ。上映からパッケージ(VHS DVD Blu-ray Disk)そして、ネット配信へ。或いは、大衆娯楽から知的エンターテインメントへ…

小津の「昭和」 二つ

小津安二郎といえば、「ボクは豆腐屋だから、豆腐しか作らない。豆腐屋にカレーだのとんかつ作れったって、うまいものができる筈がない」という発言がよく知られる。【田中眞澄編『小津安二郎戦後語録集成』フィルムアート社1989年刊】 もうひとつ、小津はこ…

訃報

2月9日9時9分ひとりのドキュメンタリストが大阪で亡くなった。布川徹郎さん(69歳)。小川紳介や土本典昭ほどには知られていないが、筋金入り・紛れもなく力と志を併せ持つ表現者だった。1968年NDU(日本ドキュメンタリスト・ユニオン)を結成、以…

他山の石

関西の演芸評論家相羽秋夫さんがラジオで上方落語について語っていた。 少し前からぼんやりと「日本の映画の近未来モデルは上方落語かもしれないなぁ」なんて考えたりしていたので、思わずラジオに聞き入った。 上方落語は戦後しばらく絶滅危惧種だった。そ…

御託

幼児から元大学総長まで、映画は誰が見たって構わない。もちろん何を言おうと自由だ。かくして、映画ライター、映画エッセイスト、映画コラムニスト、映画コメンテーター、映画コミュニケーター、などなど有象無象がそれぞれに好き勝手な御託を並べる。批評…

左前

若い監督のデビューラッシュが続いている。学生監督がメジャーデビュー大抜擢!なんて活字が躍る。ちょっと前には、日本映画史上最年少14歳の現役中学生監督が話題になった。それでいいならいいけど、おじさんブロガーとしては、う〜ん、ちょっと待ってよ、…

ウデ=腕前 腕っ節 腕力

ウデ論のつづき。「作りやすくなった。けど、食えなくなった」結果どうなってきたか。本業は別に持って、余暇で(余剰で)映画をつくる人(つくらざるを得ない)人が沢山出てきた。いや、俺は映画が本業であって決して余技でなんか作っちゃいない、という反論が…

一ウデ二タマ三トトウ

今日は(今日も?)まったくの妄想・暴走をひとつ。一ウデ二タマ三トトウ‥‥という言葉が突然湧いてきた。 牧野省三の「一スジ二ヌケ三ドウサ」は人口に膾炙した映画界の名言だが、こちらは、ただいま現在日本の映画に求められる(べきだと勝手に考えている)ロ…

映画は練り物

「ゲストが来る日は客が来るが、あとはパラパラ」という声をよく耳にする。とにかく映画館にお客さんが来ないのだ。入りがいいのは、主演俳優や監督・関係者が舞台挨拶に立つ日だけ。あとは皆さん、DVDで見ても同じだと考えているようだ。何らか付加価値…

今は昔‥銭湯と温泉 スーパー銭湯

映画は銭湯に似ている とずっと思ってきた。 愛惜されながらも廃れつつあるところ。客は減りながら、レトロ趣味と相俟って建物が登録有形文化財に指定されたり、タイル絵が愛でられたり、熱烈なファンが多いところ。などなど。 数日前に、若い映画好きと話し…

今は昔‥正・反・合

正・反・合 そう、かの弁証法である。テーゼ、アンチテーゼ、ジンテーゼ。 なんのこっちゃーとお思いの方は置いていきます。 別に哲学論議をしたいわけじゃぁない。語りたいことは二つ。 正と反は対立しながら、相補的な媒介関係にあるということ。 もひとつ…

今は昔‥日曜映画監督

もとより、ピカソもいれば日曜画家もいる。絵手紙もあればアール・ブリュットもある。 映画も遠からずそうなるのかもしれない。よく分からないが‥。誕生から、産業であり、技術でもあった映画は当初はプロだけが携わる世界であった。アマチュアの世界がなか…

今は昔‥それでも人は行く

かつて、映画は娯楽だ、いや、芸術だ、という議論があった。 娯楽でもあり芸術でもある、それでいいじゃないか。どうして狭隘に考えようとするのだろうか。「ふる〜ゥ、おっさんズレてるんちゃうか」と今なら一蹴されそうな話だが、そうでもないから、話はや…