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notes 6 戦略的

《ご近所大長征》note−その六は、「戦略的」

大工さんの世界に、段取り八分という言葉がある。段取り・準備が万全であれば、既に八割方 出来上がったようなものといった意味だ。映画に置き換えれば、「一スジ=よく練られたシナリオを準備することが第一」ということになるだろうか。
逆に考えてみる。
段取りをするためには、全体像が見渡せていなくてはならない。訳が分からず動き回るだけでは、段取りははかどらない。この仕事で、何を目指すのか、どこまで行くのかが明確に示され、皆に共有されることが必要条件となる。思いだけで、ただ闇雲に走り回るのでは、芸が無さ過ぎる。
ウデ=スキルとともに、俯瞰して見通すことが求められる。
戦略的であるとは、そういうことだ。
独りよがり・自己満足に酔うのではなく、醒めて熱い戦略性を持つことだ。
大昔、大江健三郎の小説に『見るまえに跳べ』というのがあった。内容はうろ覚えで覚束ないが、主人公の青年が「おれは見てばかりいる、決して跳ばない。おれは卑劣だ」と自己反省するシーンがタイトルの謂われになっていた。当時はそれなりのはやり言葉になっていたとも記憶する。しかし、時代は変わった。今は逆だ。見るまえに飛び過ぎる。安易に跳ばないで、じっくり見ること・見極めること、跳ばないで引き返す勇気だってあること、そんなことも忘れないでおきたい。

戦略無き突進は、敵を利するだけ。

ん?敵って何、敵って誰? ‥‥それは各自考えるべし。    以上、解散!