2ペンスの希望

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2023-11-01から1ヶ月間の記事一覧

空の神様

知人に「こんなの知ってるかい」と教えられた。 映画の背景画家・島倉二千六(ふちむ)さん。1940年生まれ。今井正、山本薩夫、亀井文夫などの独立プロ「新星映画社」の美術スタッフを経て東宝で特撮ものなどの背景美術を担当。スタッフは「雲屋さん」と呼び…

「つまりは技術である。」

備忘録。 映画作家・大林宣彦が映画監督・小津安二郎について書いた文章。 「小津映画を名作たらしめたものは、つまりは技術である。」 「小津さんの初期の映画の中に、会社で働くサラリーマンの姿を蜿蜒と横に移動していくショットがあり、ちょうどキャメラ…

左右対称 逆もまた真なり

ネットに、こんな記事があった。 「映画館で見ない理由と 自分が映画館でわざわざ見る理由と同じだった」という青年の主張。 ⇓ 「何もできない」のがいい。 似たようなのが あちこちに。集中力、拘束力、伝導率・高カロリー、拘禁状態がカ・イ・カ・ン。‥あ…

小津ごのみ:番外

中野翠『小津ごのみ』シリーズ、昨日で終わりのつもりだったが、余計な付け足し。 完璧なスタイリッシュを貫いた小津安二郎だが、この中野本には気になる記述が二つほどあった。 ◉俳優 飯田蝶子:1947『長屋紳士録』撮影中に飯田蝶子が軽い気持ちで言った一…

小津ごのみ:「わたくし 狡いんです」考

言うまでもない、1953年『東京物語』の極めつけ台詞。小津ファンにはつとに有名。 ネットには、深読みの考察が幾つも並ぶ。 あまた出版されてきた小津本にも様々な解釈が‥ぞろぞろ。 なかで高橋治『絢爛たる影絵』をはじめとする「性的深読み」について、中…

小津ごのみ:「おじさまごっこ」

女の人で小津映画がしんそこ好きという人は少ない。そもそも見ている人自体少ない。 ⇓ 「小津調映画」には、「結婚」「家庭」はあっても「恋愛」はない。つまりはメロ度の乏しい映画である。女の人たちに人気がない理由の第一はそこにあるんじゃないか。 ⇓ …

小津ごのみ:カタチでありナカミでもある‥

「形式(かたち)であり、内容(なかみ)でもあるようなもの」小津監督にとっての「表現」とはそのようなもの、だったと思う。中野翠さんはこう書いている。 中野翠が描いた「本文カット」から勝手に引用 「悪趣味なものは出てこない。だから生々しい迫力には欠…

小津ごのみ:一貫モダニスト

「女たちのきものと帯の柄は徹底的と言っていいくらいグラフィックデザイン的だ。絵画的ではなくデザイン的。作り手の個性などまったくない。無名の人々が歴史の中で作りあげて来た幾何学的な柄だ。たとえ花鳥風月が題材になっても、絵画的なタッチではなく…

小津ごのみ:ドンゴロス

生誕120年 歿後60年とあって今年も小津関連本が次々刊行されている。研究者・信者が世界中に生まれていることは当ブログでも何度か触れてきた。小津映画に込められた深淵(深遠)なる思想を微細・精緻に分析・解析した(と称した)「研究」が陸続と発表され…

ゾッキ本 いや めっけもん だった

ご近所の古本屋さん=口笛文庫の店先には いつも 税込み100円の格安本が並んでいる。いわゆるゾッキ本。ひと山いくらの処分品のたぐい。 先日 こんな一冊を発見。税込み百円。即買い。 中野翠 著『小津ごのみ』【2008年2月 筑摩書房 刊】 PR誌「ちくま」連載…

〝新しい〟映画を見た

久しぶりに地元で公開初日の映画を見てきた。船橋淳監督作『過去負う者』 チラシを三つ挙げる。多分 古いものから順 予告編は五つ。 www.youtube.com www.youtube.com www.youtube.com www.youtube.com www.youtube.com残念ながら、どの予告編も物足りない。…

映適マーク

不勉強丸出しだが、2023年4月に「映適マーク」がスタートしていた。 知らなかった。 どの程度の実効性と意味・意義があるのかは分からない。ポンコツのロートルには正直 はなはだ 疑問だ。イマドキ「カチンコ」だなんて‥センスも疑う。「メガホンをとる」同…