2ペンスの希望

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小津ごのみ:ドンゴロス

生誕120年 歿後60年とあって今年も小津関連本が次々刊行されている。研究者・信者が世界中に生まれていることは当ブログでも何度か触れてきた。小津映画に込められた深淵(深遠)なる思想を微細・精緻に分析・解析した(と称した)「研究」が陸続と発表される。ただ、その多くは男性。中野さんはのっけからその違和をチクリと指摘する。

小津映画はドンゴロスのタイトルバックに始まって、何よりも、一つの確信に満ちた美的秩序の世界として私の目前に立ち現れた。ストーリーやテーマやメッセージよりも、まず、ある美感というか趣味性を最大限に具現したものとして迫ってきたのだ。【「一章 ファッション、インテリア 」題辞】(太字強調は引用者)

1934年(昭和9年)『浮草物語』ドンゴロス タイトルバックの 始まり 始まり~ぃ。

 一場面。縞の着物にひょうたん柄(!)の浴衣‥小道具・背景・照明の暗部具合‥細部にまで行き届き揺るがせにしない美的秩序の緊張・緊迫。映画館の大きなスクリーンで見てもらいたいなぁ。