2ペンスの希望

映画言論活動中です

2015-09-01から1ヶ月間の記事一覧

新しい天体Ⅱ

昨日書いた開高本『新しい天体』にこんな文章がある。 「批評の出発点で終点でもあるのは直感の第一撃なのであって、それからあとの言葉は御世辞か自己宣伝かである。」料理は自分の舌で味わえ。人の評判や格付け評価を信用するな。自らの直感を第一とせよ、…

新しい天体

作家・開高健に『新しい天体』という本がある。食の現場の食べ歩きルポルタージュだ。タイトルは、ブリア=サヴァランの『美味礼讃(味覚の生理学)』にちなんだ命名である。 美食家サヴァランはこう書いた。 「新しい御馳走の発見は人類の幸福にとって天体の…

整理整頓無し

五十年近く、下ごしらえ・整理整頓無しにやってきた。過去の経験をキレイに整理整頓して抽斗に収納する知恵も工夫もない。今更改める器量もない。従って机の中は雑多なガラクタが乱雑に放り込まれているだけだ。 その日ぐらし、その場しのぎ、徒手空拳の丸腰…

丸腰こそ

友人に勧められて、久し振りに映画を観て来た。 今や貴重・稀少 入替えなしの二本立て館。平日の午後。お客さんは結構入っていた。135席の4割前後が埋まっている。映画は、弱冠28歳新人監督のデビュー作。米アカデミー賞で三つもオスカーを獲っている。けど…

There are no shortcuts.

今日は2014年にマーティン・スコセッシが愛娘に送った公開手紙を挙げる。Martin Scorsese A Letter to my DaughterDearest Francesca,I’m writing this letter to you about the future. I’m looking at it through the lens of my world. Through the lens …

前を向く人

映画も文学もたそがれてしまった。誰もが感じているところだろう。 昔は良かった、昔は凄かった、‥うしろを振り返って溜息ばかりついている。そんなことしても何も始まらない。なのに自慢話・昔話にふける業界人は掃いて捨てるほど多い。俺たちの頃は‥、昔々…

定型紋切型

映画の惹句なんて、売らんかなの嘘八百‥そんなことは百も承知だ。 「全米が泣いた」なんてイマドキシャレにもネタにもならない。誰も騙されない。 ヨソモノの惹句ならそれでも良い。安物・安手のご愛嬌とスルーすれば済む。 けど、我が国の映画となると笑って…

明るい闇

老舗大手メジャーと云われてきた日本の映画会社(さしずめイメージするのはTとTとSの三社)は、既に何十年も前に死んでいる・ゾンビだと思う。 ゾンビが云いすぎなら、「抜け殻」或いは相撲で言う「死に体」。彼らが最早映画製作会社じゃないことは御自身が…

◎〇△×

このところ更新が滞っている。 単なる息切れ・サボってるだけなのだが、思い当たる節がひとつだけ。以前から映画を見たらひそかに◎○△×の四段階で評価メモを付けてきた。 ◎:見てとても良かった 見た方が良い 〇:見て良かった 見ても良い △:見ても見なくて…

『死者よ来たりて‥

今日は、宣伝というか告知。 東京の先輩から、1969年グループびじょん制作の記録映画『死者よ来たりて我が退路を断て』(65分)をネット【YouTube】で全編公開したという連絡を貰った。 当時短編記録映画やPR映画を作っていた日本映画新社の演出部や撮影部の…

「なんや、こっすいねん。」

淘汰と選別は市場に委ねるべし、介入不要、そんな反論を受けた。 世の中盲千人目明き千人、確かにそのとおりだろう。 映画が作りやすくなったことは悪いことではない。要らぬ辛抱・堪忍をする必要はない。行く手を阻むハードルは低いに越したことはない。障…

淘汰と選別の目(芽)

最早、映画館で映画を観るという形は、「映画の流通」「事業としての映画」にとって、隅っこの一部分でしかなくなってしまったのだろう。 自前で精力的に新作を作り続けている監督さんとそんな話になった。 劇場公開、ホール上映、TV放映、パッケージ販売、ネ…