「形式(かたち)であり、内容(なかみ)でもあるようなもの」小津監督にとっての「表現」とはそのようなもの、だったと思う。中野翠さんはこう書いている。
「悪趣味なものは出てこない。だから生々しい迫力には欠けるわけだが、目にはすがすがしく快い。「リアリティ」はちゃんとある。ギリギリOK 」
こちらは小津の発言。
「私は、画面を清潔な感じにしようと努める。なるほど、穢いものをとり上げる必要のある事もあった。しかし、それと画面の清潔、不潔とは違うことである。現実を、その通りにとり上げて、それで穢いものが穢らしく感じられることは好ましくない。映画では、それが美しくとり上げられなくてはならない」【『小津安二郎 新発見』松竹 1993 より】
丹精込めた端正。反リアリズムのリアリティ!