出版業界も映画業界も、右肩下がりが数十年も続くのに、いまだに過去の方法論から抜け出せない。環境も技術も何もかも変わってしまっているのに、昔の発想にしがみつく。ベストセラー、ミリオンヒットの味が忘れられない。伊藤さんは語る。
「(本が売れない)出版不況は(実はゲームや読書離れのせいじゃなくて)むしろ書店の現場にあるのではないか。コンピュータシステムの導入によるローコストオペレーションによる人材の切り捨てが今日を招いたのではないか、そして、目先の利益追求に走りすぎた結果ではないのか。本部主導型が増え、支店の自由裁量権を奪ってしまった結果ではないのか。」(補足 太字強調は引用者)
それだけが原因でないことは百も承知の上で、伊藤さんの指摘は明快だ。
すべては「人」と「現場」から始まり、最後はやっぱり「人」と「現場」で決まるという。
本の世界も映画の世界も、現場で人を育てられるかどうかがやはり生命線なのだ。ゆがみとひずみの中での人づくり、やっかいで難しい問題だ。レンジでチンとはいかない。促成栽培では育たない。すぐには身につかない。近道も特効薬もない。時間もお金もたっぷり掛かる。しかし、もはや後戻りはできない。言い訳を連ねていても事態は好転しない。ジリ貧・後退戦が続くばかりだ。弥縫策ではもう持たない。抜本策をやるしかない。その時、要になるのが「人」であり「現場」というわけだ。
ではどうやるか。
もとより、すみっコぐらしのロートルに秘策があるわけではない。
老婆心ながら、アドバイスを少々。
とにかく、自分の足元を見ることだろう。遠くじゃなく身のまわり、近所の現実を、自分の目で見る。肌で感じる。通信・ネットワークの広がりで、昔に比べ、世界は地続きになっている。世界は広くて近い。目を凝らし、耳をそばだたせて、(出来るなら足を運んで)自分の頭で考える。現場の実感を掘ることをお勧めする。幸いなことに、いつの世にも「本好き」は居る。「映画に心惹かれる人」も居る。現場・地元・地域・地方つまりはご近所に立ち返ってみることをお勧めする。地域を知る。顧客を知る。かつての配達・御用聞きもヒントになるかも。
ということで、今日のキイワードは、きん しん かん。
きんは、「近」で「今」で「緊」で「勤」で「欣」で「金」だ
しんは、「新」で「進」で「心」で「芯」で「真」で「信」だ
かんは、「観」で「感」で「汗」で「貫」で「勘」で「環」だ。
なに、意味不明、さっぱりわからんって。あとは各自 胸に手を当てて 勝手にやってくれ。