2ペンスの希望

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⑦「買うより借りて読む」

今日は「へぇ 知らなかった]の続き「数字」の話。

ちょっと古いが、伊藤清彦さんの岩手日報連載記事「いわての風」(2013/12/29)から引用させて貰う。

出版業界の売り上げ不振は深刻度を増している。それを象徴するような現象が、実は昨年現れている。昨年一年間の書籍発行点数は約8万2200冊。平成元年と比べると3倍強と膨れ上がったままだ。

それに比して書店の数は約3万店から1万4千店と激減。地元の小さな書店が廃業し、超大型書店とナショナルチェーンの店が席巻しているのが現状だ。ネット書店も隆盛をみている。売り場面積は増大しているにもかかわらず、出版物の売り上げはどんどん落ち続けている。さまざまな理由が語られてきたが、ゲーム業界にお客を奪われたというのが、長い間の理由づけのトップ。

でも、実は、公然とは言えない理由があったのだ。公共図書館はここ10年で500館増え3230館前後。個人貸し出し冊数は5億7100万冊に激増している。

昨年度でいえば書籍の販売総冊数は6億6700万冊だったので、買う人と借りて読む人数が逆転してしまった。読書離れではなく、買って読む人が減ったというのがどうやら真実らしい。(太字強調は引用者)

最新のデータは知らない。おそらく町の路面店はさらにさらに減り、電子書籍売上はぐんぐん伸長し、買うより借りて読む人の逆転はもっと拡がっているのではなかろうか。

出版不況をゲーム市場の驚異的拡大、他人のせいにしているかぎり、業界は救われない。読む人は読む。それもかなりヘビーに。

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実際最寄りの市立図書館では「購入リクエスト」が激増し、「かなりの確率で購入してくれる」という声を聞く。