2ペンスの希望

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わかってるって

1982年1月〜83年12月雑誌『話の特集』に連載されていた糸井重里の『私は嘘が嫌いだ』にこんな一節があった。
何にでも本来のありようがあるはずだ、という考え方を私は好まない。本来とか原点とかを云々すると、必ず現在が誤りだという結論になってしまうからである。現在が間違いであるのは、わかっているつもりだ。それは、過去が間違っていることや、未来も間違っていること、などと同じように間違っているわけで、とりたてて現在の間違いだけを大声で叫ぶとメシがまずくなってかなわない」(『変態食欲者の告白』)
毒饅頭だと分かっていてそれを喰らわざるを得ない者がいる。その悲哀を噛みしめない安全地帯からの批判は慎んだほうが良い。胸に響かない。自戒自戒。