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本『傘のさし方がわからない』

岸田奈美さんの本『傘のさし方がわからない』【2021.10.20. 小学館 刊】を読んでいる。

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あるとき「傘のさし方がわからへんねんてば」下半身麻痺で車椅子生活になった(奈美さんの)母が言った。

人は一度転車の乗り方を覚えると、10数年乗らなかったとしても、そうそう忘れない。泳ぎもそうだ。」「傘のさし方がわからない大人なんているだろうか」そう思った奈美さんは、

そっと傘を開き、さしてみる。どっちから風が吹いているか。傾けてみるか。方に芯棒をのっけてみるか。意外とこまかなバランスをとりながら、傘をさしていることがわかった。」そして気づく。

物事を正面から見たままでは、気づけないことある。側面や背面に、誰かの優しさや悲しみが隠れていて、それに気づけるかどうかで、目の前に拡がる物語の姿形が変わる。「傘のさし方がわからない」これまで何気なく見ていた景色が、ギュッと愛しくなるひと言を、見逃さないように。」と。

 

ここから引き出せる 映画にまつわる教訓 二つ。

見る時は、画面の側面や背面にも目を凝らしてみるのがイイ。

作る時は、何でもなさそうなことに潜む意味・経験の深さを肌で感じ意識することだ。

オマケ:

岸田奈美さんの紹介プロフィールには、こうある。

1991年生まれ。100文字で済むことを2000文字で伝える作家。

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