2ペンスの希望

映画言論活動中です

違いはない あるのは差だけ

以前にも一二度書いたことがあるが、「映画にはフィクションとノンフィクションの間にさしたる違いは無い。程度の差はあっても、本質的な差はないのではないか
最近ますますそう思うようになってきた。
コレまでいろんな映画を作ってきた。その経験に照らした実感で言うと、劇映画であろうと、ドキュメンタリー・記録映画であろうと(もっというなら広報映画・PR映画であっても)すべては「表現物」作られたものであることに違いはない。
劇にも 意図せざる偶然は紛れ込む。天の配剤としか呼べないような何かが背中を押したり、足を引っ張ることが起こる。ドキュメンタリーにも ドラマは必ず生れる。(逆に言えば,映画の中にドラマが生れないドキュメンタリーは駄目だということだ。)ともに『映画』それでいいじゃないか

好例がある。
新藤兼人監督の『裸の島』。1960年だから半世紀以上前に作られた映画だ。「また昔話じゃないか。昔話はやめるといったんじゃないのか」という声も聞こえてきそうだが‥いいものはいい、それだけのこと。文句は言わせない。
去年の春に亡くなった映画監督の友人が、「『裸の島』が日本の映画で一番好きだ」といっていたことを今不意に思い出した。
ドキュメンタリーとドラマについては、これからも持続的に考えて行く。 ‥この項 続く。