2ペンスの希望

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脱・予定調和

ドキュメンタリーは安易なドラマ化にも陥る。
作り手の作為という名の演出によって、表情は感情となり、事実の断片はつなぎ合わされて物語となる。
とりわけTVのドキュメンタリー番組には、その傾向が顕著だ。分かりやすいお涙頂戴。視聴者の想像力を安く見積もり、その範囲におさまる分かりやすいストーリー展開・起承転結が準備される。予定調和によって、感動という作り物、恣意的な強制の物語が紡がれていく。
しかし、見くびってはいけない。観客の想像力は、作り手の思惑なんぞ遙かに凌ぐすさまじいものだ。
作為に収束されてしまうドラマ性ではなく、作為を超えた展開から生れるドラマ性、不意打ち。どこか知らないところに連れて行かれる不安とワクワク・期待と緊張。それがドキュメンタリーの醍醐味であり、ドラマ化の真髄なのだ。