2ペンスの希望

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〈ものまね〉

ここしばらく映画関連本のあまりの稚拙さ・駄本の連続にうんざりしていたが、
面白い本に出合った。
石井公成著『〈ものまね〉の歴史』【吉川弘文館 歴史文化ライブラリー448 2017年6月1日 刊】石井さんは1950年生の駒澤大学仏教学部教授。
冒頭に「仏教との関係の深さに注意しつつ、日本のものまね芸の源流とその展開を追ってみたい」とあった。
あとがきには
まさか「歴史文化ライブラリー」中の一冊としてものまねの歴史を書く日が来ようとは、思いもかけなかった。」とも。
ほぼ同世代、何を隠そう子供時分からものまね芸が好きだった。(もっとも 自分では全く出来ないが‥)従って、石井先生が接してきた昭和時代のものまね芸には重なる部分が多い。(もっとも 学究・教養の差は歴然だが‥)
中身については直接当たってもらうしかないが、夏の読書にはおススメ。 学者先生のたしなみ・奥行を感じる。思い付きのにわか勉強、付け焼刃じゃこうはいかない。ただ、コロッケ、清水アキラクリカンビジーフォーものまね四天王タモリ清水ミチコあたりまでしか記述がないのは残念だ。梅小鉢、みかんとまでは言わないが、ファンとしては、最新 平成のものまね芸の水位まで語ってほしい。もっとそんな期待は石井さん端から承知のようで「今回は仏教芸能との関係に重点を置いたため、幕末以後は簡略な記述にとどめてある。それぞれの時代の思想とものまね芸との関連、昭和と平成のものまねの歴史については、別な機会にまとめてみたい」とあったので、期待して待とう。