2ペンスの希望

映画言論活動中です

3T

或る方からこんなサイトを教えて貰った。
“50 Best Movies of All Time”
http://www.msn.com/en-us/movies/gallery/50-best-movies-of-all-time/ss-AAqa3AL?li=BBnb7Kz&fullscreen=true#image=1
ウエブを叩けば、似たような類は山ほど見つかる。ごまんと出てくる。
大半は、無自覚・無反省・無責任な書きっぱなし・言いっぱなしの垂れ流しだ。そんな中、なかなか面白く読んだ。とりわけ“tastes, technology, and trends”という
3つのTキイワードは面白かった。どんな表現物にも言えることだが、映画の世界ではこの“3T”の変化は格段に激しく今なお続いている、そう思っている。
見世物、興行、産業としての歴史=進化発展ゆえなのだろうが、時代や社会の変化で映画の基幹・基板・基盤は激しく変わってきた。他の表現製品に比べ、それだけ若い、青いということであり、まだまだ不安定とも大いに可能性有りとも言えそうだ。
なんとも歯がゆくて悩ましい。
もうひとつ。
若いうちはとにかく新しい作家や自分と同時代を生きている人を応援しなくてはいけない。でも、そのことにだんだん疲弊してくる。疲弊したときに、昔の小説や、自分が若いときに読み逃していた作品や感銘を受けた作品に還っていくんだよ」 【「青春と読書」2017年5月臨時増刊号】
まだ二十代だった若かりし頃の書評家:豊崎由美川本三郎が言った言葉だそうだ。
確かに、我が身を振り返っても思い当たる。
若い頃は尖がって突っ張って、古典・名作の類には食指を動かさなかった。むしろ、エスタブリッシュメントは敬遠し、反発を覚えた。齢を取って古典に接する機会が増した。
出来損ないの新作にがっかりするより、格段に歩留まりが良い、そう思うようになった。
これをしも、成熟とみるか、衰弱とするか、にわかに断定できかねる。
これもまた、やるせなくもどかしい。