2ペンスの希望

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キャメラ??

人間の目は(というより脳?)優秀だ。 映っているものから見たいものだけを選び出し
見たくないものについては無視する。余分なものはオミット、見えていても見ていない。
キャメラは違う。キャメラは怖い。目の前にあるすべてを丸ごと写してしまう。 容赦なき暴力性。その力はあなどれない。もちろんスタッフは見せたいものだけを写そうと苦心・腐心する。背景をぼかしたり消したり‥。スタジオでは完全管理も可能だが、ロケーションとなるとそうもいかない。写らなくともよいものが映り込み、意識せざるものまでが記録されてしまう。 「丸ごと性」
さらにもうひとつ。キャメラの記録の力は、映っているものに疑いを抱かせない。目の前で実際に起こったことしか写らないという基本的前提があるからだ。映っているいるものがどれほど信じがたいものであっても、映っている以上、まずそれを事実・真実だと思う力が働く。疑うことはゆるされない。信じようとする。(デジタル技術の登場によって、あらゆる加筆修正が可能となり、そのことが広く知られるようになってきて、今後、事情は大きく変わっていくことだろうが‥‥) 「真と思わせてしまう信の力」
キャメラに写っていることは、嘘ではないが、キャメラがあることによって出現したレアな一瞬、一回生、秘蹟であることを忘れてはいけない。