2ペンスの希望

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クオリティ

東京で仕事を続けている同年輩のキャメラマンと話をした。
フィルムでキャリアをスタートして業界横断的に色んな仕事をしてきた。
デジタルシネマカメラは10年前には考えられないほど進化した。暗部のしまりが悪い、黒の階調に難ありと言われ続けてきたが、明暗比は格段に良くなった。今ではフィルムかデジタル化の区別がつかないで、映写室の窓を振り返ることもある。フィルム映写機の微妙な揺れをデジタルで付加する技術も出来てるし。
それでも「やっぱりフィルムがいいね」という同業者はいる。けど、フィルムライクガンマを搭載したキャメラを使えば、ライティングも撮り方もフィルムと変わらずに撮れる。もともと貧乏性、フィルムの頃から必要最小限のライトでやってきたので慣れている。何より1分1万円が、1分数十円で撮れるようになった自由・開放感が有り難い。それよりも何より問題なのは、キャメラのクオリティより、キャメラマンのクオリティだ。
安っぽく薄っぺらな映像で育ってくると、その方がリアルでいいという考え方も出てくる。写ってしまうことの怖さ。作ること、作り込むことがおろそかになる、こっちの方がずっと心配。いいものを見て育つこと、目の力を養うこと、これは「湯をかけて三分待っても出来ない」相談だ。
 
首肯。