2ペンスの希望

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赤瀬川 おざ‥‥

赤瀬川原平漫画大全』を読んだ。【2015年10月河出書房新社 刊】相変わらず達者なものだ。
褒め言葉で言うのだが、パクリの達人。画も文もよくした。現代美術も漫画もイラストも描いた。小説もエッセーも書いた。達者がすご過ぎていま一つ共感を欠いた不思議な存在だった。余裕しゃくしゃく、自分にとって切実なものが何なのか察しさせない曲者だった。それでも何十年ぶりかに再読した「お座敷」(「ガロ」1970年6月発表)と「おざ式」(「ガロ」1973年7月発表)の画の巧さには、
舌を巻く。この大全の表紙の印刷にはちょっとした趣向が凝らされている。ご関心の向きは、どこかで現物を手に取って、ご自身の目でご確認あれかし。  下は 初出ガロ誌↓








赤瀬川には「妄想科学小説」という著書もある。そこで思い出した。ちょっと前、友人の映画に「長編記憶映画」というネーミングを考えて進呈した。パロディは嫌いじゃないが、どこかお尻のあたりがもぞもぞして後味はよくない。そんなことをぼんやり考えていたら、漫画「おざ式」の最後の吹き出しにこうあった。
「ああ それから マンガというものは ただ自分の気持を かくだけではなく 他人が見ても 面白いように 一コマ一コマていねいに かきましょうネ」 ぼく 趣味―教育 
 【今日のおまけ おざ式の一コマ ↓ 】