2ペンスの希望

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中古良品

赤瀬川原平さんは、タイトルネーミングとコピーライティングが達者だった。
老人力とかトマソンとか。
最近読んだのは、『健康半分』【株式会社デコ 2011年7月 刊】「病院の待合室に置く小冊子『からころ』に連載したもの。亡くなる三年程前、原平さん74歳時分の仕事だ。
最終回「ワケあり」から引く。
カメラも人体も、この世にあるものはいずれ中古品になることに、例外はない。たまに「新品・未使用」というカメラがあるが、手にしてみると必ずしも動きがいいとは限らない。それより丁寧なプロに長年使われてきたカメラの方が、擦り減ってはいても動きは滑らかで、状態は良い。中古カメラの世界では、そういうものを「中古良品」という。
 中古カメラに限らず中古自動車も、中古時計も、この世に長くある物はすべて「ワケあり」である。何らかの過去を持っている。
‥‥」
デッドストック、新古品、ジャンク品なんてのもあるが、いずれそれぞれ「ワケあり」にはちがいない。ただただ使わずに果てる「死蔵品」でなく、「中古良品」と呼ばれるロートルでありたい。常々そう願ってきた。