⑪は石井輝男 1924(T13)年1月 生。
あの『網走番外地』東映ポルノの石井輝男がつげ義春を映画化する?!
きっと上野昂志も驚いたはずだ。戸惑いをそのままに綴っている。
カット割りが、原作のコマ割りをなぞるようにしてやられている‥そうなると、マンガのコマ割りと映画のカットの違いが気になってくるのだ。つまり、マンガのコマ割りが、読者の読みの時間性によってある程度自在になる余白の時間ともいうべきものを持っているのに対して、映画のカットはそうではない。そのことが、ことさら意識されてくるのである。(「ガロ」1992年1月号)
かくいう管理人も同じ口だった。耳にしてビックリした。好物が二つも目の前に‥けど、なんだかなぁ、ケチャップ味のスパゲッティナポリタンと湯豆腐を一緒に食べるようで何だかチグハグ、そぐわない。役者も佐野史郎や浅野忠信だしなぁ、と敬遠して今に至る。もっとも のちの竹中直人もそれ以前のTVの佐々木昭一郎も見ていないわけではないのだが‥‥どこか面映ゆい。
「つげ漫画の強度」というか「ゆるぎない完成度と膨大な余白」それをどう映画化するか、距離・間合いをどう取るのかは最高難度案件のひとつなのだろう。
というわけで、今日は黒枠(太)付きの画像。
もっとも上野はこうも書いている。
マンガをそのままなぞるのは、映画にとってはかなり危険な賭けのはずだが、それを、むろんつげ義春に対するオマージュであるにせよ、平然とやってしまうというところが、石井輝男の大胆さである。