2ペンスの希望

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黄昏‥⑫

⑫は増村保造 1924(T13)年8月 生。

増村についての文章は多くない。多作だが凡作も混じるゆえの敬遠かナ、性が合わなかったのかナ、なんて憶測していたら、山根貞男とのトークショーではこんなことを言っている。

上野 なまけもので、仕事はしてるんですけど(笑)依頼があって書くという。気に入ってる監督がいても、増村保造は大好きなんだけど増村についての文章はひとつだけで、お呼びがないとペンと持とうとしなかった。

(またもや『スマ(id:namarukarada)さんのはてなブログ「私の中の見えない炎 おれたちの青春も捨てたものじゃないぞ まあまあだよ サティスファクトリー」上野昂志×山根貞男トークショーレポート』から無断拝借)

そのなのだ。売文業者(貶めてるんじゃないよ。プロの文筆家だとむしろ褒めてるんだよ ) はお座敷がかからないと書かないものだった。ブログやSNSで無料無給の勝手な書き散らし=銭の取れないゴタクが可能な時代じゃなかったんだ。

管理人もオオシマや喜重は注目しても、「また 増村かぁ」なんてスルーパスしてきたくちだ。時代を経てから見直して、パッションと持久走その持続力に驚いた。

なかで一番のお気に入りは『暖流』(1957年 大映東京)。

左幸子の快演・怪演。