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紙ヒ4 映画監督になる法

紙ヒ通信その四は、「映画監督になる法」。
雑誌掲載ではなく、単行本『紙ヒコーキ通信2』の書き下ろしだ。長部さんの映画の先生「俊代陸斎」との問答形式。「俊代陸斎」はトシヨ・リクサイと読む。
以下 T=俊代陸斎(映画の先生) B=僕(長部さんとおぼしき人物) として引用。
T―増村保造監督が白井佳夫氏と対談して、こう語っている。映画の歴史を実際の作品によって見ることに優る勉強はない。日本でもシネマテークをつくって、映画史的に編纂して見せたら、誰だって監督になれちゃうんじゃないか、映画技術なんてのは、ちょっと頭のいい子がシネマテークに一年も通えば、全部マスターできる、マスターできなきゃどうかしてる。だから映画監督は今や、どこから出てくるかわからない‥‥と。
B―ちょっと頭のいい子が、シネマテークに一年通ったぐらいで、映画技術を全部マスターできるとはおもえませんが‥
T―それにしたって実際の作品を見るのは大切ですよ。小説家になろうとする者が、肝心の小説はちっとも読まずに、聞きかじりの文学論だけしていたら、お笑いでしょう。近年の映画の世界では、それに近いことが行われていた。つまり作品はあまり見ずに、もっぱら口先の理屈で映画を論ずるというような‥‥。とにかく映画をたくさん見て、よく研究することが前提。
B―本棚に文学全集が並んでいる家の子供が、みんな小説家になれるわけでもないでしょう。
T―さよう、高い金を出してそれを買っても、映画監督になれるかどうかはわかりませんが、わたくしのいうことを聞けば、なれます。
B―ほほう、では先生のお考えでは、映画監督になるのに、まず第一に学ぶべきなのは、どういうことですかね。
(冷やかしが4挑発が3本気の部分が1.5あわせて8 1/2の気持で、ぼくは訊ねた。)
T―映画は芸術ではない、と知ることです。
B―映画は映画であるだけで十分で、それ以外のものである必要はないとおもいますが、しかし、芸術でないとすると、何なんですかね。
T―映画は●●●●です。
 
[太字は引用者]

さて皆さん、●●●● 俊代陸斎先生は映画は何だと言っているのでしょうか?
答は明日書きます。