2ペンスの希望

映画言論活動中です

数字の話 1対1

どんな中間経路を経ようと、ものを書く、読むという行為は1対1のものだ。
映画はどうだろうか。
かつては、集団制作、集団鑑賞だけだった。よってこってみんなで作り、劇場に足を運んで見るほかなかった。 とはいえ、1対1対応でもあった。 お目当てはお気に入りのスター一人だけ、あとはオマケというのもあれば、監督の追っかけ、新作のお手並み拝見という人もいた。みんなで一緒に見ても、当然印象も評価もバラバラだ。笑いのツボも涙腺の緩み具合も個々別々。
今は劇場に行かなくても見られる。CATV BS CS ‥TV視聴も多彩なら、盤レンタルも購入も、PCスマホでのオンデマンド、無料視聴YouTubeもありだ。見るという行為は名実ともに一人のものになった。撮る側も変わった。集団制作の映画監督から、単独行の映画作家へ、潮流も移っている。ただ、いかに形やツール、メディアが変わろうとも芸術や芸能、表現と受容が1対1対応であることに変わりはない、そう思っている。非効率。1対1の繰り返し、積み重ね。ゆっくりゆっくりもどかしくまどろっこしくしか伝わらないこともあれば、出会いがしらの一撃、一目惚れ。一瞬のうちに雷に打たれることもある。時空を超えた邂逅必至。古い新しいは関係ない。
選び放題、見放題、この世の春。だからこそ、ぜひ古い映画にも目配せして貰いたい。劇場公開やDVDリリースの新作だけでなく、掘り出し物に出会うことがきっとある筈だ。