2ペンスの希望

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渥美清

寅さんは大嫌いだが、渥美清は大好きだった。
全く趣味ではない(むしろ反撥の方が強い)山田洋次監督なのだが、撮影所育ちの技量をフツーに身につけていれば、筋立てやスタッフ・役者に支えられてフツーに面白い映画を作ることが出来る。その証左の一つとして、挙げておく。

観客が何を見ていて、どこまで知っていて、何を期待しているのかを熟知した上で最大限に活用する作劇術・叙述手法のお手本。こういうのを見ていると、最近の映画は薄いなぁと思わざるを得ない。残念至極。監督の力は重要だが、映画はひとりでは出来ないことにも気付かされる。役者やその他諸々の集積が、映画を膨らませる。それと感じさせない緻密な計算の積み重ねと畳み込み。
渥美も良いが、冒頭 検問の巡査役もなかなかだと思うが如何。