2ペンスの希望

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二重性

映画における役者と演技の関係性についてはずっと考え続けてきた。役を演じるというのはどういうことなのだろうか。私たちは寅さんを観ながら、同時に渥美清を見ている。竜二を観ながら、金子正次を見ている。魅かれるのはその二重性だ。役に重ねながら、役者の生身・人となり・人間性そのものに触れている。演劇や舞台に求められる演技力がお芝居の巧拙にあるのに比べて、映画はリアル、素に近いところに勝負どころがある。距離感が近いというか、息遣いまで晒される。巧拙でありながら巧拙を越える仕儀の不思議。‥‥ すべての映画は記録映画である、そんな言葉も浮かんでくる。この項、引き続き考えていくつもりだ。