2ペンスの希望

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一筋縄ではいかぬ

数日前、極東の旧作自主映画と泰西の名画二本立てを観た。
例によって題名は書かない、内緒。少しだけヒント。作られたのはともに1980年代。
邦画はヤクザのホームドラマ、洋画は監督自身の体験に基づく少年映画である。
いやぁ、両方ともむちゃくちゃ面白かった。堪能した。ただ、作りは真逆、正反対だった。
下手な映画と上手な映画。貧乏人が作った映画とお金持ちの映画。ギリギリ一杯一杯破れかぶれの切実・切迫作と、余裕綽綽(しゃくしゃく)馥郁(ふくいく)たる一本。
ガタピシ隙だらけ素人に毛の生えた映画と用意万端ぬかりなし・達者でゆるぎない玄人達人映画。何もかもが大違い。なのに、両方とも面白いのだ。ともに後味よく堪能、満足した。どうしてだろうかと考えた。二本とも〈どうしても作りたい、これを作らないと先に進めないという思いの強さが伝わってくる〉からという結論に達した。精一杯の眞實・真摯。そこでは、どちらが良いとか、どちらが上位下位かなんて決められない。改めて、映画の懐の深さというかキャパシティ、包容力(抱擁力)を感じた。
ホント映画は一筋縄ではいかないから難儀だ。つくづく厄介者。だからこそ面白いのだと再認識した一日だった。